『水戸黄門』放送40年と~・解説

東野英治郎が演じた『水戸黄門』だけで10年を超えており、ほかの西村晃、佐野浅夫、里見浩太朗もほぼ10年。石坂浩二はわずか2年だったが、佐野浅夫と石坂浩二の主演期間を足すとほぼ10年、また石坂浩二と里見浩太朗の出演期間を足してもほぼ10年である。
したがって、1東野、2西村、3佐野、4石坂、5里見の5代は、実質、1東野、2西村、3佐野+石坂、4里見の4代、または1東野、2西村、3佐野、4石坂+里見の4代と解釋できる。

そうなると1代(便宜上、1はアラビア数字にする)平均で10年になる。

話の中では光圀役の俳優が代わる前後で物語は続いていることが多く、設定がリセットされたのは石坂版スタート当時のみで、このときは時代設定が藩主だった光圀が隠居するところからスタートした(ちなみに光圀没後140年の天保後記を描いた『江戸を斬る』で、金四郎役が西郷輝彦から里見浩太朗になったときも、金四郎奉行就任から作り直された)。また、弥七とうっかり八兵衛の描写を観る限り、里見版は石坂版以前の東野~佐野版の世界を受け継いでいるようにも見える。

しかし、話の細かい流れは別として、各俳優の主演期間で考えると、東野→西村→佐野+石坂→里見(または東野→西村→佐野→石坂+里見)と俳優が代わるたびに、作中で光圀の隠居した10年間が繰り返されているとも解釋できる。実質4代で40年続いているこの作品は、光圀が隠居した10年間を4回描いたとも考えられる。

まとめるとこういうことになる。

_________時代設定
_________1690年光圀隠居──→1700年光圀没
放送期間____│___________
1969年_____│___________
俳優一代目___│東野英治郎─────→┐1-13
________│┌←─────────┘
1983年_____│↓
俳優二代目___│西村晃───────→┐14-21
________│┌←─────────┘
1993年_____│↓
俳優三代目___│佐野浅夫──────→┐22-28
________│┌←─────────┘
2001年_____│↓
俳優四代目___│石坂浩二________29-30
2002年_____│↓
俳優五代目___│里見浩太朗─────→┐31-38
2015年_____│___________↓39-43
________│___________↓水戸黄門 スペシャル(2015年)
2017年_____│┌←─────────┘
俳優六代目___│武田鉄矢→

こうして見ると、佐野版と里見版で「光圀が近畿を訪れて若き吉宗と対面」という話が繰り返されていることも納得できるし、佐野版で光圀が出会った吉宗が「新之助」を名乗りながら、里見版で光圀がであった吉宗の名が「源六」に戻っていることもこれで納得できる。また、石坂版と里見版の両方で芭蕉が出ていることもこれでわかる。
また、芭蕉が1694年に没し、吉宗の名が「源六」から「頼方」、別名「新之助」になったのが1695年以降とした場合、佐野版で1695年以降を描いていると假定しても、里見版で1694年以前を描いていることと何ら矛盾は生じない。
└→『水戸黄門』放送40年で光圀隠居10年を4回描いたと假定した場合

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