神武天皇から3代の年齢変遷 

日本の初期の天皇は、当時としては信じられないほど長寿である。

神武天皇は紀元前711年生まれ、同585年没と推定されているようだ。数え年で享年127歳である。

これは必殺シリーズで「平賀源内(1729~1779)が1842年まで113年生きていた」というのに匹敵する。『西遊記』では紀元前5世紀前後の人物である釋迦(Y!辞書)が西暦230年前後の後漢の時代や、629年の唐の時代に存在したことになっているが、『西遊記』の釋迦は「佛(ほとけ)」であるから入滅後数百年と解釋できるだろう。

例えば江戸時代の将軍で言えば、徳川家康の場合、1542年生まれで、没年は大坂夏の陣の翌年の1616年。数え年で75歳で没した。当時としては長寿である。
もし、家康が神武天皇と同じく127年まで生きたとすると、没年は1669年。実際はその前の1651年に3代将軍・家光が没しており、1670年前後は4代家綱の治世。家康の孫・光圀(1628~1700)が1661年に水戸藩主になって、もうすぐ10年になろうかという時期である。

神武天皇は生きた時間の長さで言えば、江戸時代初期の家康、秀忠、家光の3代、またはさらに家綱を加えた4代をまとめて初代と記述しているようなものだ。
これが実在した人間であれば、神武と綏靖の間に2人か3人は「つなぎ」の天皇がいたか、天皇不在の時代が長かったか、あるいは生まれた年、即位の年が神話の記述ほど古くないと解釋するのが妥当であろう。

推古天皇(554~628)は第33代天皇だが、世代ではおおよそ第25世代に相当する。
推古天皇の前の第29代欽明天皇(Y!辞書)は510年生まれ、571年没らしいが、それ以外で推古以前の天皇は何年生まれかはっきりしない。
もし、一代あたり30年として計算すると、神武天皇は推古天皇より30代前で紀元前340年生まれ、一世代30年で神武が推古より25世代前とすれば神武天皇は紀元前100年生まれになる。