『新巨人の星』および『ドカベン』と1978年 

また、この1978年から成田空港と横浜球場が使われるようになったわけだが、この2つは『ドカベン』において山田世代の高校在学中にすでに使われていた。

成田空港はアニメの『ドカベン』で殿馬が遭遇したハイジャック事件のとき、その飛行機が不時着した空港として描かれた。これは山田世代高2の春の選抜が終わって夏の予選の前後であったから、アニメの山田高2は78年以降である。
『大甲子園』では山田世代高3夏の予選の決勝戦が横浜球場でおこなわれていた(普通、山田たちの夏の神奈川予選は保土ヶ谷球場での試合が多い)。1978年には大洋ホエールズが横浜大洋になり、ホームが川崎から横浜に移った。

梶原野球漫画では『新巨人の星』の「新魔球の章」がこの時期に当たる。
78年に花形が蜃気楼の魔球を打ったあと、ヤクルトが特訓を秘密にして、記者から「乳酸菌のカーテン」と言われた。練習がマスコミに取材されるとライバルに手の内がばれる。飛雄馬の失踪もそれを避けるためだったが、それなら、球団首脳部の許可を取ればよかった。

左門豊作のユニフォームの文字が「TAIYO」から「YOKOHAMA」になり、最終回で左門が蜃気楼の魔球を打った場所が横浜球場だった。ちなみに、高校時代、星飛雄馬が左門豊作と初めて会った場所も横浜であった。
『巨人の星』ではビジターとホームのユニフォームのデザインが実際のそれとは関係なく描かれており、川崎球場や横浜球場での試合でも、左門のユニフォームには「TAIYO」や「YOKOHAMA」とあり、星飛雄馬のユニフォームには「GIANTS」とあった。当時の巨人はビジターのユニフォームが「TOKYO」だったはず。

少年チャンピオン・コミックス『ドカベン』単行本は第30巻から第34巻まで。山田高2春選抜から夏予選まで。

第30巻 1978年1月15日刊行 犬神登場
└→赤城山が土佐丸に敗れる。明訓×土佐、ボールこぼれ事件
第31巻 1978年4月20日刊行 四天王過去編、選抜終了(増ページ)
第32巻 1978年6月5日刊行
第33巻 1978年8月5日刊行
第34巻 1978年10月5日刊行 東海~白新、ハイジャック解決
└→表紙は「太陽の子」で使われた里中と山田

山田高2春選抜(センバツ)の後半、殿馬が打ったボールを犬神がフェンス(金網)で捕球、金網にしがみついていたが、ラッキーゾーンに落下し、ホームランとなった。
『ドカベン スーパースターズ編』第14巻では2006年開幕直後の東京スーパースターズと四国アイアンドッグスの試合、犬飼武蔵が打った打球を義経光がフェンスの上の空中でキャッチ、バックスクリーン前のスタンド内に落下。完全捕球だった。犬神も含め四国ナインはHRを確信したが、判定はアウト。
審判の説明によると1978年までは捕球しても身体がスタンドに落ちるとHRだったが、1979年からルール改正でアウトになったとのこと。

1978年当時の『ドカベン』で描かれた明訓×土佐丸の選抜大会はあくまでその当時の試合であり、『プロ野球編』で山田高2春の選抜大会は1993年になり、空中で捕球した野手がスタンドに入ってもアウトだっただろうし、何より『プロ編』の山田が高校に入った1992年から甲子園球場のラッキーゾーンが存在しない。
したがって『プロ編』の神奈川明訓が山田高2春の選抜大会で優勝したときは、『ドカベン』高校編の描写とは違った結果だったはずである。

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