中村主水の年齢が藤田まことの実年齢より5歳年下だった場合【壱】
中村主水の年齢が藤田まことの実年齢より5歳年下だった場合【弐】

『新必殺仕事人』で筆頭同心田中が初登場したとき、中村主水は43歳で筆頭同心田中は24歳だった。
『新仕事人』は1981~82年の放送である。筆頭同心同心田中が登場したのは1981年に放送された回である。

藤田まことは1981年の誕生日で48歳だったので、実年齢より5歳若い同心を演じていたわけだ。
そこで、今度は中村主水の年齢が藤田まことの実年齢より5歳若かったと假定してみる。
年表の中の「藤」は藤田まことの年齢で、「基」がは作中で基準となる主水の年齢である。
例によって、『必殺忠臣蔵』や『意外伝』で主水らがタイムスリップした時代などは排除する。

例えば、主水シリーズ第1作『仕置人』で藤田まことが40歳だったから、主水は5歳若い35歳だったと假定してみる。『仕置人』の時代設定を1818年(文政元年)とすると、そのときに主水が35歳だったことになる。

同様に、『仕留人』の場合、放送当時藤田まことは41歳だったので、主水は36歳。この主水は西暦1853年で37歳ということだ。
『仕置屋』では藤田まことは42歳だったので、主水は37歳ということになる。鳥居耀蔵が南町奉行になった1841年で37歳と假定するわけだ。

この場合、『仕置人』の主水が放送当時の藤田まことと同じ40歳になったのは西暦1823年、『新仕事人』で設定された43歳になったのは1826年ということがわかる。シーボルト事件の2年前だ。

天保時代後期、鳥居耀蔵が南町奉行だった1841~1844年の時期を描いた『仕置屋』『アヘン戦争』『意外伝』『オール江戸警察』は基準となる時代が近い(または重なり合っている)が、演じたときの藤田まことの年齢が異なるため、主水の生まれた年がどんどん過去にさかのぼっている。
これは藤田まことの実年齢を基準にした場合のみ、起きる現象である。

特に初期の『仕置屋』主水は『アヘン戦争』の主水より7歳年下で、『大老殺し』の主水よりは5歳年上である。つまり、『仕置屋』の主水は、年齢差で言えば『アヘン戦争』の主水より『大老殺し』の主水にやや近いことになる。『仕置屋』の主水は天保時代に活動した主水の一人だが、世代の上ではほんの少しだけ幕末の主水に近づいている。
一方で『オール江戸警察』の主水は世代的には天保初期の『激闘編』や『春日野局』の主水と世代が近く、『アヘン戦争』と『意外伝』の主水が少し離れている。

『仕留人』の主水が放送当時の藤田まことと同じ41歳になったのは安政の大獄が始まった1858年で、43歳になったのは桜田門外の変のあった1860年。一方、この安政の大獄~桜田門外を扱った『大老殺し』の主水は1858年で49歳、1860年で51歳。
また、『仕留人』と『ブラウン館』の主水がたった2歳しか違わないのは意外な發見であった。
この場合、『アヘン戦争』と『意外伝』の主水は同一人物と考えていいが、そうすると『仕事人IV』最終回で主水が暗殺した南町奉行が鳥居耀蔵ではない別人であるところがおかしくなる。

まとめると、主水の年齢が藤田まことの実年齢より5歳年下の場合、こうなる。
『仕置人』を文政の初めとすると、その主水は天保の主水と比較的、近い世代になる。天保初期の『春日野局』と『激闘編』、天保後期の『江戸警察』の主水が世代的に近くなり、『アヘン戦争』と『意外伝』の主水もほぼ同世代となる。天保の『仕置屋』の主水は幕末の主水に比較的近く、幕末の『仕留人』と『ブラウン館』の主水が世代的に近くなる。また、『大老殺し』と『横浜異人屋敷』の主水も当然ながら近い世代になるというわけだ。

特に前期必殺の主水の場合、『仕置人』の主水が世代的には天保の『仕事人』主水に近く、『仕置屋』の主水が幕末の『仕事人』主水に近い世代になることが注目点だ。

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