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作中冒頭でイリオモテヤマネコ(西表山猫)捕獲のニュースを観るのび太とドラえもん。作品ではイリオモテヤマネコが国際保護動物に指定されている。イリオモテヤマネコがそうなったのは1994年(参考HP)らしい。
時代設定は明らかに平成(1989年以降)である。原作はてんコミ第27巻で、1981年(昭和56年)の作品らしく、また、原作ではトキの捕獲のニュースだったらしい。
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のび太は世界にただ一匹 または 国際保護動物スプレー で検索

トキ(朱鷺)の場合、1981年に佐渡のトキが捕獲されたらしい。
小学校の国語のころに教わったが、かつてシーボルトがニッポニア・ニッポンと名づけたトキは、江戸時代には多かったが、明治以降、羽などを取るために乱獲され、最終的に野生は絶滅。明治維新など何のためにやったのか、江戸時代のほうがよかったのではないかと想えてくる。「生類憐みの令」は極端にしても江戸時代の日本は自然を大事にしていたのではないか。日本の「近代化」など、世界に自慢できるものは何一つない。

ヤマネコやトキにとって、自分たちを滅ぼそうとした人間が、自分たちを保護しようとしているとは考えないだろう。動物たちにとって、人間がやっているのが狩猟のためか、保護のためかなど、区別がつかないではずだ。そのあたり、かつて話題になった「矢ガモ」も同じである。

一部の動物園で、客が自由に入れる「人間用の檻(おり)」が設けられたこともあったようだが(下注釋)、「のび太は世界にただ一匹」ではのび太が網で捕獲され、実験動物のように扱われ、動物園の檻の中に入れられ、多くの人に見られる羽目になる。

これは「保護」が「管理」と表裏一体であり、「プライバシーの侵害」であることを意味してる。学校の「管理教育がいけない」と言われながら、事件が起きると「管理はどうしていた」といわれるのが落ちである。老人の「孤独死」を防ぐために四六時中監視することがいいのかどうか、考え直す必要がある。

藤子・F・不二雄の師匠であった手塚治虫も人間に興味本位で観られる動物の苦悩を描いたことがある。
└→『ジャングル大帝』と『ブラック・ジャック』

てんコミ第27巻の「恋するドラえもん」ではドラえもんが猫2匹(ペルシャ猫と野良猫)を第22巻の「イチ」の国に送り届けた。

1983年4月2日初刊のてんコミ27「のび太は世界にただ一匹」ではトキ2羽捕獲のニューを報じる新聞記事があり、上に「1981年」とある。当時、日本のトキは佐渡島の5羽だけであった。

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09年8/27 9/3 9/4 9/14

関連語句
のび太


注釋
客が自由に入れる「人間用の檻(おり)」
1988年の『FLASH』(光文社)11月22日号によると、当時、静岡県の日本平動物園に人間が入る檻が出現した。看板には「ひと ホモサピエンス 霊長目ヒト科 分布全世界」とあった。この檻は「サルの檻のおさがり」で、同年9月には1万9000人だった入園者数が10月には8万6000人に上昇。天気のいい日曜日には日に6000人ほどが訪れ、その客の3分の1は「檻体験」をして帰ったらしい。記事によると、この檻も次の年の11月ごろには取り壊され、オランウータンの新獣舎になったらしい。


参照
8月7日はのび太の誕生日
藤子作品関連(2008年9月以前~2009年6月)
主な『ドラえもん』関連記事(2009年8月22日~27日)
主な『ドラえもん』関連記事(2009年9月3日~)