『巨人の星』単行本連載時の区切りと連載期間II 

1967年における連載は約80週目まで続いたはずだ。
すると、文庫第4巻、KC第6~7巻の飛雄馬二軍時代(時代設定は1967年秋から半年近く)を描いた話が雑誌に載ったときは、まだ1967年だったわけだが、文庫第4巻収録の末尾で68年春の台湾キャンプが描かれている。このあたりから『巨人の星』の時代設定は連載当時の野球界と一致するようになったのだろう。

表にするとこうなる。

連載時期(推定)──内容と時代設定
1966年春─────飛雄馬少年時代(時代設定1958年
1966年夏─────飛雄馬中学時代(時代設定1965年
─────────-└→働く一徹と紅洋高校の花形がインタビューを受ける場面
1966年夏─────飛雄馬高校入学(時代設定1966年春)
1966年秋~末───飛雄馬高1春~夏(時代設定1966年春~夏?)
1967年──────飛雄馬高1夏、甲子園(時代設定1966年または67年夏)
─────────-飛雄馬高1秋、中退
─────────-飛雄馬16歳秋、入団テスト(時代設定66年または67年秋)
─────────-飛雄馬16歳秋、巨人二軍、川上巨人V3(時代設定1967年秋)
1968年──────飛雄馬16歳春、台湾キャンプ(時代設定1968年春)
─────────-└→キャンプ当時は高校1年の3学期に相当
─────────-└→開幕の時期は高2に進級するはずだった
─────────-└→開幕のあとに17歳の誕生日を迎えたと想われる
─────────-飛雄馬17歳夏、大LB1号完成(時代設定1968年

梶原一騎と川崎のぼるは、1966年春ごろ(推定)に『巨人の星』を始めたとき、飛雄馬の少年時代を1958年と設定し、そして連載開始の年のうちに、飛雄馬の青雲高校入学を連載開始当時と同じ1966年として設定した。ところが練習、予選、甲子園出場と描いているうちに1967年に入ってしまった。

こうして観ると『ドカベン』の明訓編初期とよく似ている。水島新司も山田太郎の明訓入学を描いたところではおそらく1974年当時に執筆していて、山田も1974年で16歳としていたのだろう。ところがレギュラー争い、地区予選、甲子園到着まで描いているうちに、1975年になってしまったわけだ。

『巨人の星』の文庫で村上知彦氏が、『巨人の星』は日本の漫画界で初めて高校野球の地区予選から甲子園までを丁寧に描いた高校野球漫画であったという見方を示している。
『巨人の星』が『ドカベン』の下地を作ったことがここでもわかる。

文庫1冊平均18話として、飛雄馬二軍入りから台湾着までの文庫第4巻は1968年の春か半ばまで、台湾キャンプから大LB1号での花形との対戦寸前(KC第9巻)までを描いた第5巻で1968年の秋か末ごろまでになる。すると、文庫第6巻中央、KC第10巻での花形による大LB予告HRは1968年9月18日の巨人×阪神戦を描いており、これは1968年秋か末、または1969年初めあたりに描かれたものであろう。
└→『巨人の星』KC単行本と文庫と収録作品の連載期間

前後一覧
09年8/4~5 8/5 8/6 8/6前後 8/12前後