『はだしのゲン』の英語版は前からあったとは想うが、すべて翻譯されてはいなかったのだろう。

 

核を作りながら核の危険性について無知なアメリカ人に、核の「恐怖」を教えるには絶好の作品であろう。
しかし、あくまで中沢啓治(「終戦」まえは「中澤啓治」と書かれていただろう)個人の被爆体験をもとにしており、信用できるのは核の「恐怖」や被爆者の悲劇くらいである。

 

戦後編になって朝鮮戦争や警察予備隊成立の時期の話になると、作者の傳聞によるものが多くなり、「三光作戦」などの噂をそのまま信じてゲンの台詞にしているところもあり、すべてを鵜呑みにするのは避けたほうがいい。

 

また、1939年生まれの中沢啓治は、物心ついたころから戦争が始まっていた世代であるから、日本が戦争に突入した歴史的背景については描写が浅い。ゲンの父親が「ひとにぎりの金持ちが武力で資源を手に入れようとして勝手に戦争を始めた」と言うだけである。
結果としての戦争の悲惨さを肥大化させている意味では『ガラスのうさぎ』に似ている。

 

アメリカが核の傘を正当化する以上、アメリカ、韓国、日本などが批判しても説得力は北朝鮮や中国の核開發をない。
アメリカ人は真珠湾や9・11で被害者ぶっているが、アメリカが核を正当化する以上、日本で核武装論が出るのは当然である。世界中が「戦争を終わらせるため」「戦争を防ぐため」にアメリカの真似をして核を持つことは目に見えている。

 

『はだしのゲン』は前半の「原爆の恐怖」を訴えた部分を資料として廣める価値のある作品である。
アメリカではまだ世論の6割が原爆を肯定。これだから北朝鮮も核兵器を持つし、日本で核武装論が出るというのを、アメリカ人は理解しているのかどうか。

 

火事場泥棒は一般に悪いこととされるが、ピカが落ちた直後、ゲンも母親も焼け跡から食器などを調達していた。犯罪も見方によって正当に見える例である。

 

 

「はだしのゲン」を最初に見たのは実写映画「はだしのゲン 涙の爆発」を見る直前だったと思う。調べると最初の実写映画が1976年公開で「涙の爆発」は77年公開。1980年にも実写映画化されていた。
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はだしのゲン』 | 株式会社汐文社(ちょうぶんしゃ←「潮」の音読みを「汐」に流用したような強引な社名)

午後1:48 · 2020年11月24日

 

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2009年(平成21年)8月

 

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はだしのゲン 1945 1950
作品(「戦後」復興期)
作品(近代、昭和の初め~「終戦」)
はだしのゲン(T-CupBlog)

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