前から言われていることで、「『巨人の星』の花形満は小学生のときに車を乗り回していた」というのがあるが、
1967年の秋~68年の春に高校3年からプロ入りしたことを考えると、1958年における飛雄馬との初対戦では9歳になる。
しかし、初登場のときの花形はどう観ても中学生以上である。しかも10年間テニスを教わっていたという設定である。
このように作品が進むにつれて、登場人物が西暦何年生まれか計算すると、辻褄が合わなくなることがある。この場合、同じ作品の中で設定が変化していると解釋すべきであろう。

2009年春、『ドカベン・スーパースターズ編』の山田太郎の少年時代を描いた『俵と白球』が『週刊少年チャンピオン』に掲載され、単行本第29巻に収録された。そこでは山田太郎が昭和51年5月5日生まれ、つまり1976年生まれとなっている。
このこと自体は1995年に『ドカベン・プロ野球編』が始まった時点で自明であったが、それでも1976年といえばアニメの『ドカベン』が始まった時期である。

さて、21世紀になっても続いている作品として『ドラえもん』がある。
10歳くらいののび太の家にドラえもんが居候を始めたのは、原作で1970年の正月だったようだが、この設定は21世紀のアニメでは通用しない。それどころか、原作でも「竜宮城の八日間」は82年、「ハリーのしっぽ」では85年をのび太10歳の「現在」としており、70年当時10歳だったのび太はすでに22~25歳の成人に達していたはずである。
逆に1982年当時の原作ののび太は1972年生まれ。原作第1話ののび太が小学6年生になったときに生まれたことになる。

2008年に放送されたアニメでは、のび太、源静香、ドラえもんが浅田真央を出会う場面があり、浅田真央は1990年生まれで放送当時18歳。アニメで11歳ののび太は明らかに浅田真央より7歳年下で、1997年生まれ。藤子・F・不二雄氏の没後に生まれたことになる。さらに1997年当時のアニメののび太は1986年生まれということになる。

このように、一つの作品の中で時代設定が変化すると、同じ時代における同じキャラクターの年齢自体が複数存在することになる。
└→時代設定を歴史年表に当てはめた場合II