マイケル・ジャクソン没す 

まず、エルビス・プレスリーはソロの歌手である。
ビートルズのようなバンドというものは歌手と演奏家をグループとして一体化したものであった。こちらの影響を受けた日本のバンドは、言うまでもなく数え切れないほどある。
80年代の日本で、シンガーソングライターがアイドル歌手に歌を提供することが増え、それが90年代にグループとして一体化したものが ELT や globe などである。
サザンオールスターズで原由子が桑田佳祐の作った「私はピアノ」や「そんなヒロシに騙されて」を歌うのもこれに近い。

 

 

次に歌手+ダンサーという位置づけがある。
もともと、アイドル歌手が歌うバックに踊る人たちがいて、『レッツゴーヤング』などでもよく観られたが、これは歌手專属か番組專属かよくわからず、その区別もどうでもよかった。
80年代にマイケルジャクソンの『スリラー』がヒットし、さらに別の多くの歌手が歌を歌った『フットルース』などもヒットし、ファンが歌を聴きながらダンスを楽しむことが増えた。
そして米米クラブ、trfあたりでバックボーカルだけでなくダンサーを含めたグループが出た。
こういうグループのダンサーは音だけのCDが賣れても嬉しかったのか、疑問であるし、そういうグループが初めて出たとき、ダンサーはどういう心境だったか。

 

 

 

チェッカーズはボーカル3人にドラム、ベース、ギター、サックスという布陣で、3人のボーカルによる音楽をメインにしていたらしいが、メジャーデビューでシングルA面でフミヤがメインをとるようになった。マサハルと高杢はアルバムの曲でソロボーカルを担当しており、『レッツヤン』でも披露したことがある。ところが、チェッカーズのそういう事情を知らない者が多いのか、『週刊FM』でチェッカーズに対し「メンバーが余っている」という的外れの批判をする者が多かった。
オリジナルで勝負するようになってからは、マサハルがキーボード、高杢が打楽器をやる場面もあり、それはそういう批評への対応であろうか(ちなみにギターの大森がいたころのサザンオールスターズにサックスを加えるとチェッカーズと同じ人数になる)。
また、チェッカーズと同期である83年組のソフトクリームなどは、女の子の3人組ではあったが、事実上、遠藤由美子がリードボーカルであった。

 

 

 

うしろ髪ひかれ隊がソロ活動に入った直後、ファンはそれを相当、惜しんだようで、オリ通(『オリコン』の読者投稿欄、オリコン通信)で、工藤静香がバックコーラス2名をうしろにして歌っていることについて「どうせ3人で歌うのなら…」という意見が(確かイラストつきで)寄せられていた。
ただ、歌手をサポートするコーラスはコーラスの不要なときには休んでいられるが、グループではそうはいかないのであろう。
ソロ活動に入ったあとの安室奈美恵が、曲によってはダンサー2名を起用していたのも、音楽のビジュアル化の一例であるが、それならMAXと組んで、あるいは復活スーパーモンキーズとして歌わないのかとも言えるが、曲調によってダンサーがいなくていいバラードもあり、その場合、ソロ歌手とダンサーという形式のほうがいいのだろう。

 

 

 

それにコーラスにすると、曲に常にコーラスのパートを入れないといけなくなる。
チェッカーズも初期は曲の盛り上がるところで、常に前のボーカル3人でコーラスにしていたが、シングルA面をオリジナルにしたあとの「I Love you, SAYONARA」ではそのところでフミヤのソロボーカルを生かした形になっている。
globe など、デビュー当時はボーカルとラップという組み合わせが斬新だったが、バラードに近い曲でも無理してラップを入れるところにアレンジの無理が出ていた。