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『空想歴史読本』 

『空想歴史読本』の面白さと物足りなさ
『空想歴史読本』はフィクションが描いた歴史を「地球誕生」から「遥か未来の人類滅亡(寸前)」まで描いた作品で、確かに面白いし、この「ものがたりの歴史」のヒントになったものである。

ただ、面白いだけに、読み進んでいくと欲が出たせいか、物足りないと想うようになってきた。

まず、古代に関して東映や円谷の特撮で触れた「太古の文明」について書いているが、藤子作品については扱っていない。
『ウルトラマン』で3億5000年前(300005000年前)に「文明」があったとしているようで、この本ではそのことに触れている。ところが、円道氏が触れていない作品でも『ドラえもん』の「のら犬・イチの国」で同様の設定がある。この作品でドラえもんとのび太は3億年前の地球に犬と猫を多数送りこみ、その犬と猫が1000年で文明を創った話である。円道氏は『科学読本』でこの話に一切触れていない。

また、この本では恐竜の滅亡のあとに一部の恐竜が生き残って地下に逃れたことを書いており、『ゲッターロボ』や『アイゼンボーグ』などを例に出しているが、円道氏は例によって『ドラえもん』の『のび太と竜の騎士』に触れていない。
恐竜が絶滅しなかった場合のヒト型爬虫類とした考案されたディノサウロイドについては、円道氏も『歴史読本』で言及してはいるが、それでいて『ドラえもん』の「竜人」についてはまったく触れていない。

アトランティス大陸とムー大陸についても、円道氏は『ガメラ』『勇者ライディーン』『宇宙刑事シャイダー』『ムーの白鯨』『鉄人タイガーセブン』に触れているものの、『ドラえもん』の「竜宮城の八日間」で竜宮城がムー大陸にあったという話については触れていない。これと似た話はアニメ映画『のび太の海底鬼岩城』になっている。
要するに円道氏は藤子アニメについては扱いが小さすぎるのである。

手塚治虫作品に関しては『マグマ大使』『サンダーマスク』『鉄腕アトム』『ジェッターマルス』に言及しているが、歴史的な作品である『ブッダ』や『火の鳥』には言及がない。
手塚治虫が漫画家、アニメ化した中国古典の『西遊記』についても言及がないし、横山光輝が漫画家した『三国志』も扱われていない。

円道氏は『科学読本』で飛鳥時代に聖徳太子が巨大ロボットを作った話(『世界忍者戦ジライヤ』)を取り上げ、それから快傑ライオン丸などが登場する戦国時代までの間(奈良~室町)について「空想歴史で扱っていない」としている。これは強引すぎる。
言うまでもなく、飛鳥、奈良時代から室町、戦国時代までフィクションで扱った作品は多数存在する。

円道氏が触れている聖徳太子についても『ジライヤ』だけでなく『日出処の天使』という作品がある。聖徳太子の時代に遣隋使があったが、その次に第1回遣唐使が630年に派遣された。その前年、つまり629年は玄奘三蔵が長安から天竺に向けて出發した年。『西遊記』の話のメインである。戻ったのは日本で大化の改新があった645年。
この『日出処の天使』『西遊記』は『歴史読本』で扱われていない。
『西遊記』は日本でたびたびアニメや実写ドラマになっており、藤子・F・不二雄も映画『ドラえもん・のび太のパラレル西遊記』で扱っているのに、円道氏はこれに触れていない。

遣唐使については『天平の甍』についても扱われているが、これも『歴史読本』にない。

奈良から平安にかけてと想われる話で『竹取物語』があり、『歴史読本』では巻頭の年表にあるだけで本文で扱われていない。
└→『空想歴史読本』(平安~鎌倉~室町~戦国時代について)

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