『ドラえもん』の第1話と最終回 

1974年の春、藤子・F・不二雄氏は(おそらく藤子プロと小学館も)『ドラえもん』を一度は終わらせるつもりでいた。そこで藤子・F氏とその周辺が『ドラえもん』に代わる後継の作品を考えていたことは容易に想像できる。

1974年春、藤子・F・不二雄氏は連載中の『ドラえもん』のほかに、新たな作品を3つ作っている。
それは『バケルくん』『みきおとミキオ』『キテレツ大百科』である。
一部の学年・学習雑誌で4月号から『バケルくん』、5月号から『みきおとミキオ』が始まった。
いずれも小学校時代にリアルタイムで読んだのでよく覚えている。

『ド・ラ・カルト』によると、正式に『ドラえもん』の後継作品と考えられていたのは『みきおとミキオ』であった。
『バケルくん』は『ドラえもん』てんコミ第9巻「ぼく、桃太郎のなんなのさ」ではドラえもんと合体作品となっている。
『みきおとミキオ』は小学館コロコロ文庫で1冊にまとめられ、『キテレツ大百科』も同文庫全2巻になっている。

まず、この3作は藤子・F・不二雄が『ドラえもん』を忘れようとして忘れられなかった時期に描いたもので、当時、藤子・F氏は「『ドラえもん』の次の作品を描くつもりでも、何を描いても『ドラえもん』になってしまう」(要旨)と言っていた。その「後継作品のつもりで『ドラえもん』になってしまった作品」の一部で、没にならなかったのがこの3作かも知れない。

まず、この3作は『ドラえもん』に似ている。
『バケルくん』は主人公が宇宙人からもらった変身人形で変身するもので、ドラえもんの道具でこれに類似するものは多い。

『みきおとミキオ』では、1974年の日本に住む少年が100年後の世界に行き、自分とそっくりな子孫と出会い、毎日、すりかわる話である。こちらは『ドラえもん』の「タイムトラベル」「先祖と子孫の対面」を継承している。『ドラえもん』における22世紀初めが『みきおとミキオ』では21世紀後半になっているだけの話だ(自分は初め、ドラえもんを21世紀のロボットだと想っていたが22世紀だった)。人間が計算機に頼り過ぎて暗算能力が退化する話があり、これは『21エモン』で文明の進んだ星での人間の末路を描いた話に近い。

『キテレツ大百科』はどうか。これは『ドラえもん』のあらゆる設定を逆にしたものである。
└→『キテレツ大百科』

『21エモン』(Wiki)は1968年の作品だが、70年代に小学生新聞で読んだ記憶がある。
ドラえもん、のび太、バケルくんが桃太郎を探しに行った「ぼく、桃太郎のなんなのさ」(Wiki)は、アニメの『ドラえもん』の「大山版」と「水田版」では、ドラえもん、のび太、ジャイアン、スネ夫、静香による冒険としてリメイクされている。

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2009年6/3