「仕置人」と「仕事人」 

『仕置人』から『商売人』までの前期主水シリーズでは、主水と情報、連絡がかりを除くメインの仕置人が「江戸を去る」「殉職」などの理由で交代した場合、裏稼業名(あるいは番組名)が変わることが多かった。
しかし、『仕事人』以降の後期主水シリーズでは、主水と連絡がかりだけが残って、メインの仕事人がほとんど入れ替わっても「仕事人」の名は保存された。
一度、『仕事人』が大ブームになった結果、主水シリーズに限っては、スタッフが「仕事人」という世間によく知られたタイトルを手放せなくなった過程がわかる。

 

『仕置人』    → 『仕留人』
中村主水     → 中村主水 <続投>
おひろめの半次 → 半次・・・情報、連絡 <続投>
鉄砲玉のおきん → おきん・・・情報、連絡 <続投>
念仏の鉄     → 石屋の大吉(演;近藤洋介) <交代>
棺桶の錠     → 糸井貢 <交代>
【解説(壱)】鉄と錠は『仕置人』(終)で江戸を去った。半次とおきんは『仕留人』を最後に必殺から退場。『仕留人』(終)最終回で貢が殉職し、大吉とおきんは別々に江戸を去った。
【解説(弐)】『助け人』では龍(演;宮内洋)参加のあと、前からいた情報がかりの一人が途中で殉職し、元締が一時脱退。

 

『仕置屋』 → 『仕業人』
中村主水 → 中村主水 <続投>
捨三    → 捨三・・・情報、連絡 <続投>
おこう   → /・・・情報、連絡 <脱退>
市松    → 剣之介 <交代>
印玄    → やいとや又右衛門 <交代>
【解説】おこうと印玄は殉職。市松は奉行所に捕らえられて、主水が市松を逃がし、小判の入った握り飯を与えた。

 

『新仕置人』   →  『商売人』
中村主水      → 中村主水 <続投>
正八         → 正八・・・情報、連絡 <続投>
おてい        → / <脱退>
念仏の鉄      → 新次 <交代>
己代松(みよまつ) → おせい <交代>
【解説】鉄は殉職、松は植物人間になり、おていは江戸を去ったか、仕置人から足を洗ったか。

 

『仕事人』(1979~81年)
前期        → 後期
中村主水      → 中村主水 <続投>
畷左門(なわて~)→ 畷左門 <続投>
秀          → 秀 <続投>
鹿蔵 → おとわ → 六蔵・・・元締 <交代>
半吉         → 加代、おしま・・・情報、連絡 <交代>(→『新』から加代ひとり)
【解説】『仕事人』の「主水・秀・左門編」の場合、鹿蔵とおとわは旅に出て、半吉は殉職。『新必殺仕事人』ではおとわと左門の代わりにおりくと勇次が参加。おしまが抜けて、連絡がかりは加代だけになる。『仕事人III』から参加した順之助は『IV』から、単なるサポート役に回る。

 

『仕事人IV』 → 『仕事人V』
中村主水    → 中村主水 <続投>
おりく      → おりく・・・元締 <続投>
加代       → 加代・・・情報、連絡 <続投>
西順之助    → 西順之助 <続投>
秀         → 花屋の政 <交代>
勇次       → 組紐屋の竜 <交代>
【解説】今度は「主水・秀・勇次・加代編」から「主水・政・竜・加代編」にかけてのメンバー変遷。おりくは『V』になってから途中で脱退。順之助は『激闘編』から一時、脱退し、組紐屋の竜が抜けたあとの『旋風編』で復帰。順之助不在の間、はぐれ仕事人・壱、弐、参が主水グループに協力。

 

『仕事人V旋風編』 → 『仕事人V風雲竜虎編』
中村主水        → 中村主水 <続投>
お玉           → お玉・・・情報、連絡 <続投>
鍛冶屋の政      → 鍛冶屋の政 <続投>
西順之助       → / <脱退>
銀平          → 影太郎 <交代>
【解説】あえて言えば、『仕事人』の「主水・政・お玉編」のメンバー途中交代である。順之助と銀平は『旋風編』(終)で事故で殉職。お玉は『風雲竜虎編』(終)で脱退し、代わってSP版『大老殺し』で加代が復帰し、影太郎、政とともに主水に協力。

 

次第に主水以外のメンバーがすべて交代してもタイトルは『必殺仕事人~』のままという形になっていった。

 

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2009年5/31