ファウルボールが目に当たった客が球団を提訴 

5月28日に口頭辯論(下注釋)がおこなわれた。新聞の電子版では朝日の28日付、毎日の29日付に記事がある。

 

 

この訴えを起こした客はいろいろな対応策を提案しているようだが、まるで評論家か政治家か球団の親会社の幹部にでもなったような台詞である。本人がケガをしたくないなら、今後、球場で注意すればいいし、あるいは二度と球場に行かなければいい。ほかの人の安全のために戦っているつもりなら、球団からもらった大量の金額は、この客だった人が自分で防護ネットなどを作るのに使うつもりなのか。
そもそも、こんな訴えを起こす必然性があるのか、疑問である。

 

 

 

前からの報道にあるとおり、チケットの裏にはファウルボールなどによる負傷で球団が負う責任は応急治療のみと書いてあるらしい。その人は、その場で球団から治療費と交通費を合計40万圓ほどもらったらしいが、私であればそれをもらえば充分である。

 

 

 

一方、その税理士の人はそれでは不服として約4400万圓の損害賠償を求めて仙台地裁に訴えを起こした。観客を守るネットの設置など義務をおこたったという主張らしい。
しかし、私がその客の立場であれば、そんな4000万強のカネなどもらったところで、自分がそれでネットを作るわけでもないので、嬉しくも何ともない。私ならただちに返却するだろう。球団側が安全対策を強化すべきなら、そんな数百万ものカネは、ケガ人が持っているより、球団側が今後の安全対策として使うほうが、遥かに公共のためになるはずだからだ。私だったら球団からもらう「お詫びの印」なら数万圓で充分である。

 

 

 

この4400万は何に使うための費用か。40万ももらえば治療はできたのではなかろうか。
治療費が40万で足りないのなら、すでに球団側は責任を取っているのだから、私だったらあとは自腹ではらうし、4000万も治療費がかかるのであれば、それはブラック・ジャックの手術代のようなもので、目の治療の相場がいくらかよくわからないが、医者のほうが問題ではなかろうか(補足)。

 

 

 

客の安全を守るために球団がネット設置をするのに4000万以上もかかるのなら、私が客だったた球団を訴えて自分がもらうより、初めからその費用を球団に使ってもらうのが最善である。
電車に乗ると、アナウンスで「列車とフォームの間があいております」「傘などのお忘れ物が多くなっております」「お乗りの際は中ほどに詰めて…」などと非常にお節介だが、これも鉄道会社が訴えられた場合に備えてのことか。

 

 

 

ボールが当たったその場では球場の管理者または球団側もこの観客に謝罪しただろう。それですませればよかっただろうが、この観客がなまじ「訴訟」などしたせいで、楽天側は賠償を拒否して戦うこととなったようだ。

 

 

 

野球の選手は、誰かがボールを投げたり打ったりしているときは、ボールから目を離さないのが鉄則である、観客も同じだ。この訴えを起こした人は、そもそも昔から野球がどういう球技で、観戦するときどういう危険があるか何も知らないでスタンドにいたのではなかろうか。

 

 

 

前後一覧
2009年4/15 5/31

 

 

 

関連語句
ファウル
楽天 ファウルボール 訴訟 [1] … [4]

注釋
口頭辯論
普通は「口頭弁論」と書かれるが、「弁論」の「弁」はことばに関することなので、本来は「辯」である。「花弁」は植物だから「花瓣」、「弁別」は刀で分けることだから「辨別(>辧~)」、「弁髪」は糸のような髪の毛だから「辮髮(>~髪)」である。「辯」「瓣」「辨(<辧)」「辮」を「弁」にしているのは世界中で日本だけである。関西の智辯学園は「智弁学園」とも書かれている。
└→漢字論原点回帰II>「辯」「辨」「辮」「瓣」「辦」

参照
スポーツ(2009年5月後半)