『必殺仕置人』の直接の続編は何か 

注釋
坊主頭
これは『仕掛人』梅安、『仕置人』鉄に続いて『助け人』の辻平内(演;中谷一郎=なかたに~)、『仕留人』の大吉(演;近藤洋介)に受け継がれる。鉄の骨外しは梅安の針を指にしたもので、医学的には針と指圧の関係、これは『魁!!男塾』の飛燕が使う針と『北斗の拳』のケンシロウが使う拳法の関係に近い。平内と大吉はそれぞれ、梅安と鉄の路線を受け継いでいるが、平内と大吉は医者ではなく、平内はキセルに仕込んだ針を使う。仕留人・大吉の仕置技は東洋医学から怪力に移り、印玄(演;新克利=あたらしかつとし)、畷左門(なわてさもん、演;伊吹五郎)、渡し人・大吉(演;渡辺篤史)といった坊主頭の仕事人に継承された。


針を使うほうは蘭学者である糸井貢(医者だったかどうか不明)、かんざしを使うおせい、竹串を使う市松に受け継がれ、やいとや又右衛門は東洋医学を応用した意味では梅安に近く、その後、多くの仕事人に受け継がれ、かざり職人の秀が代表格となる。
市松の仕置技(しおきわざ)については「華麗」という常套句で形容されることが多いが、『必殺!三味線屋・勇次』のパンフレットでは、ある必殺ファンが「当時の子供にとっては、ただ恐ろしかった」という趣旨の感想を書いており、まったく同感である。

医者で仕事人
医者であり、仕掛人、仕置人等であるキャラクターは『仕掛人』の梅安、『仕置人』の鉄、『仕業人』の又右衛門、『新からくり人』の高野長英、『渡し人』の鳴滝忍、そして『仕事人V旋風編』の西順之助である。長英の武器は刀、歯医者になった順之助の武器はバズーカ砲であり、表の仕事の技術とは直接関係ない。

世直し
必殺シリーズの主人公たちは『助け人』で一度、「世直し」になったが、これは『仕留人』における糸井貢の「人を殺して世の中、少しでもよくなったか」などの台詞で撤回される。
のちに『渡し人』で鳴滝忍が「あたしたちは世直しの神様じゃない」と大吉(演;渡辺篤史)に語っている。西順之助も仕事人稼業を「世直し」と想っていたが、主水や秀、勇次はそう想ってはいなかったようだ。

『仕置人』エンディングで多用されたサンバ
これは『仕置人』で「やがて愛の日が」のメロディーではないほうの、もう一つの仕置のテーマ(『仕置人』第1話で主水と錠、最終回で鉄と錠の仕置シーンに使用、『新からくり人』出陣で流用)と同じメロディーであった。ただし、アレンジが大幅に違っている。

『仕置人』の時代設定が3とおり
『新仕置人』の続編だった『必殺商売人』の次の『必殺仕事人』では、映画やSPを入れると時代設定が【壱】文化・文政、【弐】天保前後、【参】幕末の3とおりに渡っており、これも文政の仕置人・主水が文政の仕事人になり、天保の仕置人・主水が天保(とその直後)の仕事人になり、幕末直前に仕置人だった主水が幕末に仕留人と仕事人になったと解釋できる。幕末を黒船来航からと解釋すると、仕留人だった主水が仕置人として裏稼業を開始したのは幕末直前だったことになる。
一方、『仕事人』の映画版であった『必殺!主水死す』に登場した主水は、幕末の直前に「死んだ」ことになり、その主水は天保時代に仕置人として裏稼業を初め、鳥居耀蔵が南町奉行だった時代に南町の同心だったことになる。
天保時代、北町奉行所から南町奉行所に移った主水は1844年に上司であった鳥居耀蔵を暗殺、1849年に北斎が没したときにも同心で、さらに1851年に水野忠邦を暗殺、その直後に小屋で爆死したと想われる。
一方、おおよそこのころから1852年までの時期に別の主水が仕置人として裏稼業を開始し、1853年の黒船のときに仕留人として2度目の裏稼業を始めたことになる。
そして、『必殺仕事人2007』の主水は文政時代に仕置人になった主水であり、文政時代に仕置屋、仕業人、仕置人、商売人を経て仕事人となり、1820年に城町廻りから書庫番、翌年までに自身番に異動したわけである。

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2009年5/27