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1973年の日本テレビ版でドラえもんの声が男の声から女の声になり、その番組が半年で終わったことで、「ドラえもんの声は一つではない」ということを最初に叩きこまれた。これは日本テレビ版の『ドラえもん』を知る世代の特徴である。

そして、1974年から78年までの5年間、小学館学年別・学習雑誌とてんとう虫コミックスで『ドラえもん』を黙読していた。ここではアニメで聴いた声は余り印象的ではなく、自分で聴く自分の声に近い、頭の中の架空の声であった。のび太、ジャイアン、スネ夫も同じで、源静香や玉子の声については、自分がそれまできいた女性の声をもとにして、適当に女性の声を思い浮かべて聴いていた。

この5年間、もちろん、「大山版」の『ドラえもん』は始まっていなかったのだから、自分にも周りにも「大山のぶ代の声のドラえもん」の記憶はなかった。それがなかった時代の数年間、『ドラえもん』の原作を読んできた積み重ねは大きかった。その後、「大山版『ドラえもん』」が始まり、人気を集めたが、初めの数年ないし10年くらは、原作を読んでもかつての架空の声であった。

これは「大山版『ドラえもん』」を観てから原作を読み始めた人では理解できない。
「大山版」を観て、それで『ドラえもん』を知った世代、「大山のぶ代のドラえもん」で育った世代は、原作を読んでも頭の中でドラえもんの声が大山のぶ代に、のび太の声が小原乃梨子に、源静香の声が野村道子に、ジャイアンの声がたてかべ和也に、スネ夫の声が肝付兼太になっていたのだろう。

あくまで、「大山版『ドラえもん』」が始まる前に原作を読んでいたかどうかが重要である。

半年の日テレ版と5年間の原作で育った当方も、さすがに「大山版『ドラえもん』」が四半世紀続くと、原作や大長編の漫画を観た場合、特にアニメで観たことがある内容だと、一時期、頭の中で主要キャラクターの声が「大山版」になっていたこともある。しかし、それは4年前の声優交代までのことである。

今、改めて『ドラえもん』の原作漫画をよく読むようになったのだが、注意してみると、台詞を黙読しているとき、頭の中でドラえもんの声が今のアニメでお馴染みになった水田わさびの声に近づいて、のび太の声が大原めぐみの声に、源静香の声がかかずゆみの声になりかけている。
特に四半世紀ほど前の『宇宙開拓史』の漫画版を読んでいると、自動的に「水田版」の声が頭の中に再現されるようになった。

追加
2013年5月30日付、読売新聞夕刊に水田わさびのインタビュー記事が掲載された。
1974年8月4日生まれの水田わさびは1979年4月に大山ドラが始まった当時、4歳8箇月。水田わさびは台本でドラえもんの台詞を黙読する際、頭の中で大山のぶ代の声で読んでいるらしい。水田わさびは日テレ版放送の翌年に生まれ、大山ドラが始まる前に原作を読んで声のイメージを作るような準備期間もなかっただろう。一方、この1974年から1979年までの間に小学校に通って原作を読んでいた世代は大山のぶ代の声に違和感があったはずだ。
逆に2005年の声優交代の後に見始めた世代は、ドラえもんの声を水田わさびの声で覚えるだろう。
2005年4月、わさドラスタートの時に4歳8箇月だった人は2000年8月生まれ。2013年4月の時点で12歳8箇月の中学1年生である。
水田わさびが4歳の時に大山ドラが始まったが、奇しくも水田わさびが大山のぶ代の後継となった時には水田わさびは3歳の子供の母親だった。今では12歳。この世代が今後『ドラえもん』を支えていくだろう。

私自身は「鉄人兵団」「宇宙開拓史」「町内突破大作戦」など、わさドラでアニメを見た作品の原作を読む時は、頭の中で声がわさドラになる。
18:16 - 2013年6月7日:Twitterで表示された日時

水田わさびさんがドラえもんの台本を朗読する時、頭の中では大山のぶ代さんの声で読むらしい。テレ朝で大山版が始まった時、水田さんは4歳8箇月。大山さんが降りてわさドラが始まった時に4年8箇月だった子は今12歳10箇月の中1。この辺から下はわさドラの声がインプットされている世代だろう。
18:37 - 2013年6月7日:Twitterで表示された日時


前後一覧
2009年5/20

関連語句
フィルムコミック フィルム・コミック(表記の揺れ)


追加
「大山版」が始まって間もないころ、『コロコロコミック』の読者投書欄で、ある読者が、アニメを録音し(当時は家庭用ビデオはあまり普及していなかった)、それを聴きながら同じ内容の原作漫画を読むという観賞法を紹介していた。

「ジャイアンはいい声をしている」「ジャイアンのレコードがほしい」という意見もあった。ジャイアンは歌が下手という設定だが、これは声のない漫画で想像するほうがいいかも知れない。声優だとわざと下手に歌っても、いい声に聴こえてしまう場合がある。
伊集院光は『球漫』で、漫画を読むときに読者が登場人物に一番いい「声」を頭の中で作りながら黙読しているのに、アニメ化によってそれが忘れ去られてしまうという影響を指摘していた。

今でも「大山版」の映画『のび太のパラレル西遊記』のフィルムコミックを読むと、やはりキャラクターの声が頭の中で「大山版」になるが、『緑の巨人伝』と『宇宙開拓史』の漫画版を読むと、今ではキャラクターの声が頭の中で「水田版」のそれになる。アニメでも「大山版」と「水田版」では微妙に画風が違っている。


参照
『ドラえもん』の原作スタートからの9年間III
テレ朝・水田版『ドラえもん』(2005年~)
主な『ドラえもん』関連記事(2009年4月~5月)