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『空想科学読本』――ヤマト編Iヤマト編II、ヤマト編III


宇宙の廣大さ、ガミラスとイスカンダル
柳田理科雄氏が『空想科学読本2』で書いていたように、ヤマトはイスカンダルまで0.8光年の距離に近づいたとき、スターシャからの通信電波を受診したが、これは9箇月余り前に出た電波で、ヤマトが地球から出發する少し前にスターシャがマイクにしゃべらないと間に合わない。そんな予測をする科学力があるならガミラスが地球を攻撃する前に何とかしてほしかったというのが柳田氏の談。
この話で、柳田氏は『宇宙海賊キャプテンハーロック』についても言及している。

円道祥之(えんどうまさゆき)氏との共著『空想科学論争!』で柳田氏はヤマトが航行中に自分たちの位置を把握できただけでも奇跡的だと言っている。

作中でヤマトは地球から火星、木星、土星の近くを通り、冥王星のガミラス基地を破壊するというように、太陽系の外惑星を順番に通過していた。しかし、柳田理科雄は『空想科学読本6.5』で、西暦2199年の惑星の配列を計算し、作中のとおりだとすさまじい遠回りになり、一度離れた地球を再度通過することになると指摘していた。
└→『空想科学読本』における「時間」に関する記述の問題点

ガミラスが地球を攻撃する必要性
ヤマトがイスカンダルまで0.8光年の場所に来たとき、スターシャからの電波を受信。これは電波の飛んだ距離から考えると、ヤマトが地球から出る前にスターシャがマイクに向かってしゃべったことになる。そこまで科学の進んだイスカンダルのスターシャがガミラスによる地球攻撃を防げなかった問題(『空想科学読本2』)のほか、デスラーの妻子とスターシャの話で、柳田氏は「ガミラスは地球でなくガミラスとイスカンダルのある太陽系の中に移住先の惑星を探すべきだった」と言っている(『空想科学読本4』)。

普通の船を宇宙船に改造することの問題点
「地球の水の上を行く船」を「真空の宇宙空間を飛ぶ宇宙船」に改造することについて、柳田理科雄は『空想科学論争!』で指摘していたが、本格的におこなったのは『空想科学読本5』であった。
まず、戦艦大和の残骸の中に新しい装甲を埋めていく形の施工が、非常に困難であることを指摘している。また、船が空を飛ぼうとすると空気抵抗がアンバランスで、水平に飛べないことも指摘。また、宇宙には上下がないのに、ヤマトの砲台は地球では水の上にある部分に集中し、船の底は無防備なので、宇宙では武器の多いところを敵に向けて闘うしかないという指摘。その場合、艦長室が艦橋の頂上にあるのは危険であることもわかる。

ここで柳田氏は高校生のときに『ヤマト』を観て「リアルだ」と感じ、当時は物語や音楽が評価されてもそれには関心を持たず、同世代の仲間たちも「『ヤマト』はリアルなアニメだ」と感心していたらしい。これもやはり「昭和30年代生まれ(1955年から1964年まで)」の特徴だろうか。
私個人は『ヤマト』の物語、音楽もいいと思ったし、「リアルだ」とは特に思わなかった。『ガンダム』『エヴァ』のほうがリアルである。
また、柳田田理科雄氏は1961年生まれなので、『ヤマト』が始まった1974年当時は13歳、小1か小2のはずだが、ヤマトブームのころは高校生だったらしい。
また、『科学読本9』で『ガッチャマン』1作目の最終回を中学生のときに観たとあり、『ガッチャマン』1作目の最終回は1974年、柳田氏は13歳になるので計算が合う。

『科学読本3』で柳田氏は、『機動戦士ガンダム』に出てくる宇宙戦艦の内部が無重力であることを評価しているが、一方で、モビルスーツに関しては上下左右の区別のないように、四方に頭と武器をつけるべきだと主張している。

『空想科学読本9』ではドメル将軍の敗因、沖田艦長の復活について分析している。
『科学読本5』で柳田氏は「エンジン始動に失敗するシーン」「乗り組員が逃亡を謀る場面(これは『9』で検証)」「砲に弾を込め、照準を定める過程」がリアルだと言っていたが、映画『さらばヤマト』まででは「弾を込める場面」は覚えていない。もっとも『新たなる旅立ち』『ヤマトよ永遠に』などではあったかも知れない。
ヤマトの主砲はビームに改造されていたし、照準を定めるシーンが最も多いのは波動砲。「弾」というのは『機動戦士ガンダム』で「弾が切れた」という描写で強調されていたと思う。


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2009年5/20