ファウルボールが目に当たった客が球団を提訴 

ケガ人が要求する金額の意味
もし、治療費であれば、医者が診断書を持って(できればケガ人と同行して)、球団側と直接掛け合うのが得策である。そして球団側から医者に直接治療費をはらえば、ケガ人と通さずにすむ。ブラック・ジャックは空港の騒音の被害者をオペしたとき、そのケガ人からはカネを取らず、確か航空財団から手術代を取ろうと考えた。

 

もし、今回のファウルボールでケガ人が要求する4400万が治療費でも防護網を設置する費用でもなければ、楽天はケガ人にはらうカネと防護網設置の費用の二重の出費を迫られる。賠償金が高ければ高いほど、安全対策のほうにかける予算は減らされる可能性があり、かえって逆効果であろう。

 

ケガ人が、もらった大金を楽天の球団に寄付するのなら話は別であるが。

 

もし、私がこのケガ人の立場であっても、球団から何万ものカネをもらっても嬉しくも何ともないし、給付金以上に意味のあやしいカネである。私がこのケガ人だったら「こんなカネを私にはらう余裕があったら別のことに使ってください」と言って受け取りを拒否するであろう。

 

野球のゲーム上の意味
もし、ファウルの客席に客を守るネットを設けたら、客席に入るファウルはなくなる。ノーバウンドで網にはねかえったら、それを野手がダイレクトで捕ればアウトになる。
かつてのラッキーゾーンはボールが網に当たってはねかえれば打者に不利、網をこえれば打者に有利だった。
なお、昔、日本のプロ野球で女性が入れなかったのは、女性選手がケガをした場合、女性が被害者の場合特有の訴訟になる可能性があることも理由だったのではなかろうか。
打球が客席に入る場合、そこがフェアであればホームランであるが、野球はボールが客席に入ったら得点につながるめずらしい球技である。

 

追加、訴訟社会の影響
楽天の三木谷社長は、薬事法改正による「ネット上での薬販賣の一部規制(あくまで一部である)」に反対している。これについては、ネットで薬を買って注射した人がかえって新たな病気にかかり、健康が悪化した場合、業者が訴えられることと、マスコミで「なぜ厚労相は規制をしないのか」というお決まりの論調が出る可能性があるからだ。それはこんにゃくゼリーの問題でも同様である。

 

学校が身体障碍者の入学を拒否するのは、受け入れてケガ人が出た場合、過失責任を問われる可能性があるからである。こういう訴訟は、学校内の安全対策や「バリア・フリー(身体障碍者に配慮した設計)」などを促進する方向ではなく、学校が障碍者を拒否する流れを生みだす意味では逆効果である。

 

病院のたらい回しで家族を失った人のひとりが記者会見したとき、病院側を責めない理由として「責めたら医師不足が悪化する」と言っていた。こういう公共性を持った人はまだ少ないのが現状であろう。

 

追加
今度は割り箸訴訟で裁判所が親の控訴を棄却である。割り箸に巻いた綿あめは危険であり、食べるときに気をつけるのは当然。子供に持たせて歩かせるのは危ない。親はそういう最悪のケースをつねに予想しておくべきであろう。
車庫での自動車の出し入れで子供がひかれる事故も何度も起きているが、周りの大人たちは何を観ていたのか。そういう事故を予想できなかったのだろうか。マスコミも家族の悲しみだの、事故に遭った子供がどんな子だったかだの、無駄な報道を繰り返すだけで、何も再發防止につながっていない。医師不足が問題になっている昨今、安易に医者を訴えることは事態を悪化させることにつながるだろう。

 

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2009年4/15 4/16