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『侍ジャイアンツ』の原作で、ヤクルトの三原監督は、球場内の協力者を使って巨人の捕手が出すサインを読ませ、ピッチャーの投げるボールを先に知ろうとした。
サインどおりに投げる投手であれば、それは有効だっただろう。
だが、それを知った眉月光は監督にその作戦をやめるよう進言した。
当時の番場蛮はノーコンで、捕手のサインがど真ん中でも悪球を投げるように、味方にもコースが読めないほどだった。巨人にとっては番場のノーコンは困りものだったが、それは敵がサインを読んでも、裏をかく結果になった。
番場蛮は八幡太郎平の協力でコントロールを改善。
ところが、初めの段階で眉月に投球時の癖から球種を読まれた。
アニメではロッテの金田監督が番場の足を観て、番場がプレートを踏む位置で、ボールのコースを読んだ。
眉月も金田も巨人をサインを読んだわけではなかったが、投手のコントロールが正確になると、一旦、サインを読まれたら打ちまくられる危険性がある。

 

 

星飛雄馬も左投手時代、巨人に入りたてのころは感情的になってコントロールが乱れることがあり、それが台湾キャンプでの奇跡の快投を呼んだ。
ちなみに、星飛雄馬が正確なコントロールを身につけたのは7歳であった。
左投手時代の星も、感情的なコントロールの乱れがなくなると、速球だけでは打者に打たれやすくなり、大リーグボールが必要となった。
のちに作中の杉下茂は、左投手時代の星は球質の軽さ(これは今の野球理論では否定されている)以前に、打者に与える恐怖感が欠けていたのが問題だったらしい。
星飛雄馬も右投手として復活したとき、自分でも投げたボールがどこに行くかわからないノーコンの剛速球だったが、打者にとっては的が絞り切れず、それがかえって飛雄馬の武器になった(『“アフターストーリー”全掲載!!』)。

 

 

 

しかし、投手とそのチームにとって、やはりコントロールは正確なほうがいい。
そこで、長嶋監督からの言明で、右投げ投手の星はコントロールを改善。すると、今度は左門1人に打ちまくられた。
それは投球動作で球種が読まれたからであった。
左門は泰山不動の構えで、捕手のほうを観ることなどなく、純粋に投手・星の投球動作だけから球種を完全に読んでいた。
右投手の星は、コントロールが良くなったら、どんな球を投げるか打者に読まれるようになった点では、番場蛮と同じである。
『機動戦士ガンダム』でアムロ・レイ(下注釋)が操縱したガンダムも、ビームライフルを打ったとき、射撃が正確なため、ジオンのモビルスーツのほうではコンピュータで予測しやすかった。

 

 

 

2009年4月2日の『報道ステーション』によると、同年3月、野球の WBC、日本×キューバ(下注釋)の試合で、松坂大輔が登板したとき、城島がミットを構えると、周りで観ていたキューバの選手たちがキューバの打者にコースを教えていたらしい(下注釋)。

 

 

 

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報道ステーション 松坂 キューバ または 松坂 キューバ 逆球 で検索

 

 

 

さすがに現役メジャー(<major、下注釋)選手である松坂と城島はこれに気づき、城島が最初にミットを構えた位置とは違う場所に松坂が投げるようになった。
これは「逆球(ぎゃくだま)」と呼ばれ、外見上は投手のコントロール・ミスのように見えるが、松坂がキューバ打線に投げたボールの場合、実はキューバ打線の目をあざむく「故意の逆球」であったらしい。
つまり、松坂と城島は打者の予測を許さない「見かけ上のノーコン」を故意に演出したわけである。もちろん、本当はピッチャーのコントロールがよいからこそ、できる藝当だ。
そして、松坂のあと、別の日本人投手が投げるあたりになると、もうキューバのベンチからはコースを読んで打者に教える叫び声は出なくなったらしい。キューバ側もコース読みが役に立たないとわかったのだろう。

 

 

 

星飛雄馬は左投手時代、打者のバットにボールを当てて打ち取り、初めはノーコンに見えたが、これも絶妙のコントロールのなせる技であった。しかし、星飛雄馬がコントロールもよくて打者の動きを予測できるなら、それを「打者を空振りさせる方法」として使ったほうが現実的だっただろう。

 

 

 

前後一覧
2009年4/2前後 4/3

 

 

 

関連語句
2009年4月

注釋
アムロ・レイ
このキャラクターも星飛雄馬と同様、古谷徹の声であったのは周知の如し。意外なところでつながりがある。

 

 

 

キューバ
「キューバ」は Cuba の英語読みから来ているのだろう。Cuba でのスペイン語による自称は「クーバ」(「ク」は圓唇)に近いのではなかろうか。シナ語では「古巴」Gŭbā [kupa]、朝鮮語で Khuba である。

 

 

 

コースを教えていた
キューバ人たちはスペイン語で叫んだ。番組を観た記憶によると「内角」は dentro だったか。

 

 

 

メジャー(<major)
major の發音に忠実に書けば、「メイヂャー」が正確である。
今の日本人が「メジャー」を發音すると measure との区別ができない。

参照
どこまで太文字にするか
スポーツ全般、梶原vs水島他(2009年4月)