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WBCで日本が韓国を下して勝利。
『巨人の星』で夢の魔球に「大リーグボール」と名づけ、『侍ジャイアンツ』を創った梶原一騎がもし、存命であれば、侍ジャパンの勝利をどう想っただろうか。

野球の本場・アメリカで日本と韓国が決勝を戦ったことはアジアの野球にとって誇りであろうが、アメリカにとっては「国技」が外国勢に支配されているわけで、日本の相撲で横綱2名が外国人であるのと同じである。日本では「日本人力士に頑張ってほしい」などという声が多いが、アメリカ人が大リーグや WBCについて「イチローや松坂など外国人選手ばかりが人気、アメリカ人選手も頑張ってほしい」と言っているだろうか。
そういう声が報道されないのか、アメリカ人が心が廣くて国技に外国人が増えても受け入れるのだろうか。

五輪では柔道で日本人選手が負けるたびに日本で大騒ぎになる。
日本が柔道の本場だから日本人が勝つのが当然と考えているようだが、日本にとっての柔道や相撲はアメリカにとっての野球と同じである。

野球というアメリカのスポーツで日本が「最強」になるのが「よいこと」であればアメリカ人やモンゴル人が日本の相撲や柔道で「最強」になるのも「よいこと」である。

さて、2012年のロンドン五輪から野球とソフトボールが除外され、2016年の東京かシカゴかマドリードかリオデジャネイロでの五輪で野球とソフトを復活させようという声が強い。
WBCでの日本優勝がそのはずみになる可能性もあるが、逆に言えば、WBCがあるから五輪の野球は不要という見方もできるだろう。
夏の五輪で野球をやるとプロ野球選手はシーズン中なので出場しにくい。それでロッテのバレンタイン監督が「開幕前の時期に開催される冬の五輪で野球をやったらどうか」という提案をしたらしい。
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確かに「冬の五輪で野球」も名案だが、今回の WBCは冬の五輪と時期的に近い春の初めに行われた。
冬の五輪は2月のキャンプ時で、今年の WBCは3月のオープン戦の時期であった。

すると、この時期に日本シリーズの延長の国際試合や WBCができれば、五輪で野球をする必然性も余りないだろう。
野球とソフトは1試合でもボールを大量に使い、ベース、バット、プロテクター、マスクなど用具が多い。サッカー(蹴球)やバレーボール(排球)やバスケットボール(籠球)のようにボール1つと中央のネットまたは両軍のゴールだけで1試合できる他の球技とは違う。野球とソフトは準備が大変で、常に野球やソフトがおこなわれている国でないと、球場の確保が難しい。それで五輪に向いていないと判断されているのだろう。

日本の相撲が外国人に占領されて、日本の野球の人材がアメリカに取られていることについて、少年チャンピオン・コミックス『ドカベン・スーパースターズ編』第22巻のカバーで水島新司が少し嘆いている。しかし、これは日本中心の考えである。
日本人が日本中心に考えるのは当然である。
その上で言うと、例えばモンゴル相撲は強い人材がどんどん日本相撲界に取られてはいないか、朝青龍と白鵬を日本に取られたモンゴル相撲について、モンゴルの相撲ファンは、両横綱の異国(日本)での活躍を喜びながら、両者を失ったモンゴル相撲界について寂しい想いもしているのではないか。
あるいはアメリカの野球が外国人に占領されているのは、アメリカ人の愛国者にとっては嘆くべき事態ではないのか。このように考えてみる必要がある。


参照
東京五輪の柔道がヘーシンクに敗れた件はそれほど「屈辱」か?
『侍ジャイアンツ』(一覧)
『侍ジャイアンツ』(作品解説3)
原辰徳【人物】
スポーツ全般、梶原vs水島他(2009年3月20日前後~)