┌『ドラえもん』が描く未来への警告II(コメント付)
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野比玉子がのび太に買い物を頼むときに出す買い物籠は70年代における買い物の象徴であった。今では、それもなくなり、かえってレジ袋削減、自分で袋を携帯することが求められているご時勢である。
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野比玉子がのび太に買い物を頼むときに出す買い物籠は70年代における買い物の象徴であった。今では、それもなくなり、かえってレジ袋削減、自分で袋を携帯することが求められているご時勢である。
のび太が大嘘のホラを吹いて、ドラえもんが後始末をする話は多い。
ドラえもんも気の毒であるが、首長竜・ピー助や日本狼の話、静香の飼い犬・ペロの「蘇生(実は病気の治療)」の話は、その「のび太の大言壮語癖」から始まっている。
ドラえもんも気の毒であるが、首長竜・ピー助や日本狼の話、静香の飼い犬・ペロの「蘇生(実は病気の治療)」の話は、その「のび太の大言壮語癖」から始まっている。
また、藤子作品のテーマの一つとして、『ドラえもん』と『キテレツ大百科』では、「ルール」が両刃の刃であることを示す話がある。
例えば、のび太がジャイアンなどの横暴に辟易し、ドラえもんに頼んで、あらゆるルール違反を取り締まる正義のロボットを出してもらったが、まず、自分が裁かれてしまうという話があり、キテレツ少年も自分の發明品(祖先が遺した設計図による)で同じ目に遭った。
例えば、のび太がジャイアンなどの横暴に辟易し、ドラえもんに頼んで、あらゆるルール違反を取り締まる正義のロボットを出してもらったが、まず、自分が裁かれてしまうという話があり、キテレツ少年も自分の發明品(祖先が遺した設計図による)で同じ目に遭った。
これは、大衆が自分ではルールからの自由を求めて、勝手に細かいルール違反をしながら、気に食わない他者に対してはルールによる縛りに頼るご都合主義を示している。
その縛りが己に及ぶことを多くの人は想定していない。
「国の言いなりにならない」などと豪語する人たちも、事件のたびに「国が規制、管理すべきだ」と言う。耐震建築偽装、食品の材料や賞味期限の偽装など、すべて、「国の言いなりにならない」人たちのしたことである。
自轉車の3人乗りが違法になりかかり、それでも「生活のため」と言いわけして3人乗りをする人も、おそらく、歩行者として他者の自轉車にぶつかりそうになると、途端に「自轉車を法、条例で規制してほしい」と言いだすだろう。
有害サイトを嫌がる人が法による規制に頼り、早速、反対論が出た例もある。
個人情報保護法も、振り込め詐欺や営業電話を嫌がる人たちの声を国会議員(国民の代表)が法に反映させた結果だろうが、それで学校の連絡網もなくなり、病院への見舞いも、故人への墓参もできなくなった。
迷惑メールはスパム投稿(これ自体、意味不明だが)を嫌がる人が、自動的にそれらを防ぐシステムを求めると、今度は自分がネットを使う上で障碍になる。
その縛りが己に及ぶことを多くの人は想定していない。
「国の言いなりにならない」などと豪語する人たちも、事件のたびに「国が規制、管理すべきだ」と言う。耐震建築偽装、食品の材料や賞味期限の偽装など、すべて、「国の言いなりにならない」人たちのしたことである。
自轉車の3人乗りが違法になりかかり、それでも「生活のため」と言いわけして3人乗りをする人も、おそらく、歩行者として他者の自轉車にぶつかりそうになると、途端に「自轉車を法、条例で規制してほしい」と言いだすだろう。
有害サイトを嫌がる人が法による規制に頼り、早速、反対論が出た例もある。
個人情報保護法も、振り込め詐欺や営業電話を嫌がる人たちの声を国会議員(国民の代表)が法に反映させた結果だろうが、それで学校の連絡網もなくなり、病院への見舞いも、故人への墓参もできなくなった。
迷惑メールはスパム投稿(これ自体、意味不明だが)を嫌がる人が、自動的にそれらを防ぐシステムを求めると、今度は自分がネットを使う上で障碍になる。
こうなると、『ドラえもん』で描かれた世界は、世間で言われる以上に、現代に教訓になる話が多い。
「スケジュール時計」は度を過ぎた時間厳守の恐ろしさを描いているが、漫画の中の話と片付けるわけにはいかない。
JR西日本の脱線事故など、世界の鉄道の常識では「誤差」の範圍にすぎない「たかが1分半の遅れ」を埋め合わせようとした運轉士の「時間潔癖症」によるものだ。それを生んだのは、たかが1、2分の誤差をも許さない身勝手な乗客の声に鉄道会社が応えてしまった結果であろう。
「スケジュール時計」は度を過ぎた時間厳守の恐ろしさを描いているが、漫画の中の話と片付けるわけにはいかない。
JR西日本の脱線事故など、世界の鉄道の常識では「誤差」の範圍にすぎない「たかが1分半の遅れ」を埋め合わせようとした運轉士の「時間潔癖症」によるものだ。それを生んだのは、たかが1、2分の誤差をも許さない身勝手な乗客の声に鉄道会社が応えてしまった結果であろう。
ドラえもんの存在価値が未来の道具だけであれば、四次元ポケットだけをのび太に渡して、ドラえもんは22世紀に戻ればいいはずだ。実際、のび太がスペアの四次元ポケットを一人で使ったことがある。
結果は例によって大失敗のオチである。のび太は未来の道具を無造作に使う。ドラえもんはその失敗を修正しないといけない。
ドラえもんの真骨頂はポケットから出す道具でなく、のび太に「自力でがんばれ」と諭す人間性にある。
そして、のび太の成長は手相でもタイムマシンでも、ドラえもんの道具に頼らず、自力でやろうとするときに現れる。
結果は例によって大失敗のオチである。のび太は未来の道具を無造作に使う。ドラえもんはその失敗を修正しないといけない。
ドラえもんの真骨頂はポケットから出す道具でなく、のび太に「自力でがんばれ」と諭す人間性にある。
そして、のび太の成長は手相でもタイムマシンでも、ドラえもんの道具に頼らず、自力でやろうとするときに現れる。
のび太は青年になっても勉強もスポーツも苦手のようで、雪山で眼鏡を紛失し、結婚式の日取りを間違えるなど、ドジは治らないようだ。しかし、のび太の長所は台風のフー子、タンポポ、草木のキー坊、のら犬「イチ」にも情けをかけるところ。
源静香はそのようなのび太のもつ長所を見極め、のび太のありのままを受け入れた。静香の父ものび太と交流が少ないのに、のび太の長所を理解していた。
源静香はそのようなのび太のもつ長所を見極め、のび太のありのままを受け入れた。静香の父ものび太と交流が少ないのに、のび太の長所を理解していた。
藤子・F・不二雄が没した直後あたりから世間に流布された偽の「『ドラえもん』最終回」にある展開、つまり、「ドラえもんが電池切れになり、のび太が博士になって修理する」という安易な筋書きが、『ドラえもん』のテーマを理解しない部外者による浅智慧、人気取り、金儲けのためのものであることは明らかである。
└→2005年――『1リットルの涙』『ドラえもん』
└→2005年――『1リットルの涙』『ドラえもん』