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『ウルトラマン』(作品解説I、作品解説II作品解説III

『空想歴史読本』

円道祥之氏はメディアファクトリーから1999年に出した著作『空想歴史読本』で円谷プロのウルトラシリーズがどういう時代設定になっているかを分析し、『ウルトラマン』から『ウルトラマンレオ』までの時代設定が特定できず、著書の中で悩んでいる。

 

『歴史読本』によると、1966年から67年まで放送された『ウルトラマン』でゴモラが登場した第26話では作中の新聞が1966年(昭和41年)12月21日付の毎日新聞で、『ウルトラセブン』第8話「狙われた街」では阪神タイガースの監督が藤本(藤本定義、在職1961~68年、注釋参照)、1971年4月2日から1972年3月31日まで放送の『帰ってきたウルトラマン』第31話では郷秀樹が受けた精神鑑定の診断書が72年10月3日のものらしい。そして『空想歴史読本』によると『ウルトラマン80』では第1話で「舞台は1980年4月」というナレーションがある。これらは放送時期と同じだ。

 

 

ところが、『ウルトラマン』第23話でジャミラの没年が「1993年」であること、『ウルトラセブン』第12話で核実験の心配がなくなっていること、インドとパキスタンの水爆実験が1998年にあったことから考えると、ウルトラシリーズの舞台は90年代以降にずれる。
『ウルトラマンA』は第10話の描写から見て『帰ってきた~』の続編であり、『ウルトラマンタロウ』も第1話から見て『A』の続編であり、モロボシ・ダンが再登場した『ウルトラマンレオ』は『ウルトラセブン』の後日談であるから、円道氏はそれで悩んでいたわけだ。

 

 

これについては、時代設定が複数存在すると解釋すればいい。

 

 

まず、放送時期と時代設定が同じと解釋した場合。『歴史読本』を参考にした。ウルトラセブンの活動期間とウルトラマンジャックの活動期間には4年の開きがある。
1966~67年 『ウルトラマン』→1966年、ゴモラ出現。
1967~68年 『ウルトラセブン』→阪神の監督は藤本。
↓4年後
1971~72年 『帰ってきたウルトラマン』→1972年、郷秀樹が精神鑑定を受ける。
1972~73年 『ウルトラマンA』→第10話「決戦!エース対郷秀樹」。
1973~74年 『ウルトラマンタロウ』→第1話でAの敵・ヤプールが残した超獣が登場。
1974~75年 『ウルトラマンレオ』→モロボシ・ダンがMAT隊長。
↓6年後
1980~81年 『ウルトラマン80』→舞台は1980年。

 

 

放送中に暦の年が変わっているため、『セブン』終了から『帰ってきた~』スタートまで3年。『レオ』終了から『80』スタートまで5年。

 

 

次に初代ウルトラマンがジャミラを倒した1993年をウルトラマンの活動時期とした場合。わかりやすさのために、活動中に年を越していないとする。セブン来訪からジャック来訪まで4年とする。
1993年 ウルトラマンがジャミラをウルトラ水流で倒す。
1994年 ウルトラセブンが地球で活動。
↓4年後
1998年 ウルトラマンジャックが活動。
1999年 ウルトラマンAが地球で活動。超獣などと戦う。第10話「決戦!エース対郷秀樹」。
2000年 ウルトラマンタロウが活動。第1話でAの敵・ヤプールが残した超獣が登場。
2001年 ウルトラマンレオが活動。

 

 

さらに、『ウルトラセブン』がインドとパキスタンの核実験(1998年)の直後と假定した場合。
1997年 初代ウルトラマンが活動。
1998年 ウルトラセブンが活動。インドとパキスタンの核実験のあと、核実験の危機はなくなる。
↓4年後
2002年 ウルトラマンジャックが活動。
2003年 ウルトラマンAが活動。第10話「決戦!エース対郷秀樹」。
2004年 ウルトラマンタロウが活動。第1話でAの敵・ヤプールが残した超獣が登場。
2005年 ウルトラマンレオが活動。

 

 

この場合、初代ウルトラマンの地球での活動が1993年のことで、その5年後以降にセブンが来訪したとも解釋できる。
ただし、北朝鮮をめぐる国際問題を考えると、2009年になって核実験の危機が去っているとは言い難い。もともと、フィクションのできごとなので、『セブン』で核実験の危機が去ったからといって、現実の核実験のあった時期から時代設定を考える必要はない。
円道氏が書いているように、ウルトラシリーズは場合によっては「近未来」を想定しているようなところがあり、『セブン』の「狙われた街」のエンディングで、ナレーションが「これは遠い未来の話」という意味の説明をしていた。