時代劇を現代風に解釋・壱
時代劇を現代風に解釋・弐


生没年はYahoo!辞書、Wikipedia、書籍資料などから。

元禄
『水戸黄門』
“茨城県前知事(または“水戸市前市長)”兼“前副総理”・徳川光圀(1628~1700)が身分証明書(旅券、手形)を偽造し、偽名を名乗って、從者数名を連れて日本全国を旅行。各地の政治、経済の問題に干渉し、場合によっては賭博や窃盗までして、投獄されたりもした。
光圀一行はその場で説教するだけで、すぐ、別の地方に移る。漫遊が終わるとまた、全国各地で同じ問題が起こり、光圀の度は何度も繰り返されていた。
地域に根付いた改革がなされていなかった証据である。

茨城県知事と水戸藩主では行政区画が一致しないかも知れないが、県知事に喩えたほうが威厳がありそうなので、県知事または市長と解釋した。

「現代版『水戸黄門』」とされている作品には西田敏行主演の『特命!刑事どん亀』がある。主人公は前水戸藩士でなく、警視庁極秘捜査課の課長という設定。
『最強ロボ・ダイオージャ』は『水戸黄門』をモチーフにした作品で、時代設定は現代または未来であろう。

『忠臣蔵』
地方自治体の長だった浅野長矩(~ながより、1667~1701)容疑者が官邸(下注釋)で皇室接待パーティーを担当することになったが、浅野が自分の上司である吉良義央(~よしなか、1641~1702)の態度に怒り、浅野は城内(今の皇居内)で吉良氏に刃物で斬りつけた。被害者の吉良氏は負傷。加害者・浅野長矩は当時の政府の長・徳川綱吉(1646~1709)の判断で死罪を言い渡された。
加害者・浅野長矩の部下は失業し、そのうち、大石良雄(1659~1703)容疑者以下47名が吉良氏と政府を逆恨みし、1702年某日、夜中から明け方にかけて吉良邸に侵入。住民を多数、殺傷。大石一味は最終的に吉良義央を引きずり出して斬首、切断した頭部を袋に入れて街を練り歩いた。1703年、大石一味は死罪。
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享保
『暴れん坊将軍』
行政府の長・徳川吉宗(1684~1751)が偽名を名乗って首都を歩き回り、消防隊の一つ「め組」と私的な付き合い。不正を犯した者の家に押しかけ、個人的に雇った男女2名のボディーガードとともに現場の手下を殺傷しまくり(吉宗自身は峰打ち、男女2名は刀で相手を斬る)、最後に「成敗!」と叫んで男女2名に相手を殺害させていた。

『大岡越前』
“東京都知事”兼“東京地裁裁判官”兼“東京警視総監)”である大岡忠相(1677~1751)の話だが、特にテレ朝の北大路欣也版では警察(奉行所)による誤認逮捕が続き、警察の長である大岡忠相が自分で捜査していた。警察の人事の缺陥である。

補足
時代劇を現代風に解釋すると、『水戸黄門』は地方政治・地方経済で不正が頻出し、中央から派遣された長老が非公式に説教して廻ったというもので、積み重なれば税金の無駄遣い。何ら、根本的な解決になっていない。これを望むのは片山善博氏が「水戸黄門幻想」として批判した国民性だ。
2015年、大阪市での住民投票で、大阪都構想が僅差で否定された際、舛添氏が橋下徹氏の「大阪都構想」を批判したように、「制度いじり」ですぐ問題が解決できるものではない。なお『水戸黄門』は逆に制度の問題を改めず、説教してるだけだが、あの架空の世直し旅は「二重行政」の最たるものだ。

『忠臣蔵』は加害者(浅野内匠頭)の部下(大石内蔵助ら四十七士)が被害者(吉良上野介)を逆恨みするようなもので、「吉良邸討ち入り」は仇討ちでなく追い討ちである。この指摘は『忠臣蔵』関連のドラマでも登場人物の台詞で指摘されていたはずだ。

『暴れん坊将軍』による「成敗」は総理大臣が閣僚を指名しては次々と罷免してるようなもの。任命責任が問われるだけで、名君と言えるかどうか疑問。

『遠山の金さん』と『大岡越前』は警察署の署長が自ら聞き込みや潜入捜査までやっているわけで、警察組織の末期的な寺内不足である。

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2008年9/25