立場を入れ替えて考えられない人が多い。

 

 

2008年の北京五輪での野球とソフトボールが五輪競技としては「最後」であるなら、日本が金メダルを獲りたいように、韓国もアメリカも同じ気持ちだっただろう。
日本人大リーガーが多数活躍するのを喜ぶ反面、モンゴル人が相撲界に多いと「外国人だらけだ」と嘆く。それなら大リーグなど外人選手だらけ。地元アメリカ人は気の毒だ。
日本角界でロシア人力士の大麻問題が続出。若ノ鵬は本当に大麻をやっていて、露鵬と白露山は鎮痛剤による擬陽性の可能性がある(下注釋)。

 

 

 

いずれも野球に喩えると非アメリカ人の大リーガーまたは日本球界における外人選手がドーピングで問題になったようなもの。

 

 

 

「野球選手が渡米すること等による日本スポーツ界の空洞化」を嘆く声があるが、ではモンゴル相撲は空洞化しないのか。
朝青龍白鵬が日本相撲界に渡っているが、モンゴル相撲ではチャンピオンがみな日本相撲界に移ってはいないか。

 

 

 

野球でも日本はアメリカ、台湾、韓国が助っ人外人をもらっている。向こうは空洞化しないのか。リー・スンヨプを日本に提供した韓国球界はイチローのいない日本球界のようになってはいないか。
週刊誌の見出しやネットを見る限り、井村コーチを「裏切り者」と呼ぶ人がいるようだが余りにも幼稚。スポーツでもビジネスでも「敵」から実力を買われて引き抜かれてこそ本物である。巨人時代の伴宙太に中日から誘いが来たとき、父・伴大造も似たようなことを言っていた。

 

 

 

北京五輪における中国シンクロの井村コーチも同様だ(当Blog記事)

 

 

 

日本人としては「海外に渡った井村氏の指導者としての活躍と、新天地の教え子たちの初のメダルにライバルとして拍手を送りたいが、それだけに井村氏を引き止められなかった日本は残念。日本の名選手、名コーチの人材流出を危惧する」とコメントすればよろし。
スペインの藤木コーチに関しても同様。

 

 

 

そもそも、「花様游泳」と同じく「花様」と掲揚される「花様滑冰」、つまりフィギュアスケートでは日本人選手が外国人コーチに育てられているケースはざらにある。
日本のフィギュアスケート界はトリノ五輪でアメリカやロシアを抑えて金メダルを獲得した。日本のスケート選手を指導した北米出身またはロシア出身のコーチについて、北米やロシアから「裏切り者」という批判が出たかどうか。そんな話は聴かない。

 

 

 

ロシアと中国とジャマイカは世界中にコーチや選手を提供している。世界中の華人の卓球選手など、むしろ、中国一国の五輪代表枠に収まりきれない人材の豊富さを示している。中国人はいろいろな国の国旗を背負った同胞の活躍を楽しめるわけだ。

 

 

 

ジャマイカは「ジャマイカ系××人」がメダリストに多かったのを流出を防いでメダル獲得多数になった。流出を防ぐかどうかは、その母国次第である。

 

 

 

星飛雄馬は左腕時代、中日コーチになった一徹を恨んだこともあったが、右腕投手時代は「一徹が敵となり立ち向かってくれたから、自分の左腕時代の栄光もあった」と認識するようになっている。
井村コーチが北京五輪で古巣・日本チームの前に立ちはだかったのも、それが日本チームの改善につながれば、井村氏による日本への貢献とも言えるだろう。

 

 

 

クリスティー・ヤマグチは日系アメリカ人。
ミシェル・クワンはシナ系アメリカ人。
タラ・リピンスキーはポーランド系アメリカ人。

 

 

 

前後一覧
08年8月末 9/1~4

 

 

 

関連語句
スポーツ [8] 花様游泳

注釋
9/12の報道によると、露鵬は親方衆の誘導尋問で自白を強要されたと主張しているらしい。
3か月前にロサンゼルスで吸った大麻が今月の検査で出るかどうかが鍵になる。
とにかく「罪を認めればいい」という言葉に応じてはならないということだ。
しかし、どうして陽性反応が出たのか、露鵬も証明しないといけないな。
初めの目的「無罪の主張」を捨てては全てが駄目になる。

参照
五輪関連索引
クイズ番組で「花様滑氷」出題
ノンプロからメジャーへ行く日本人選手
スポーツ(2008年9月1日~13日)