あれは忘れもしない昨年の10月19日
その日は本当は仕事に行く予定だった
9月から感染症や肺炎などにかかり日に日に体力が無くなっていく旦那
けど、今までも大きな手術やキツイ抗ガン剤をクリアしてきた旦那だ
また復活する
今を乗り越えたら旅行に行こう
そう思っていた…
本当はその日は仕事に行くはずだったけれども
胆汁が体外に排出されない為、管を鼻から入れる検査をしないといけない
前に一度やっていて、麻酔無しで管を鼻からお腹まで通す拷問のような1時間だったと聞いている
旦那がもうあの検査は受けたくないと言い困っていると姑が私に相談してきた
私は仕事や自分の病院などで10日ほど旦那の入院先に行けてなかった
そのころLINEを送るが返事もない状態だった
今思えば相当気力、体力が落ちていたのだろう
「じゃ、病院行って説得するわ!仕事はその後行けばいいし」
ここは旦那のヤル気を出させるのは私しかいないと使命に燃えて病院に行った
10日ぶりの旦那は
ベッドに座り廃人のようだった…
私の顔も見てくれない
一点を見つめじっと座っている
10日前は まだ元気だった
たくさん喋ったのに…
おかしい…なんかアカンような気がした
その時主治医の先生がみえて声をかけるけど反応がない
そのまま部屋を出る先生
追いかける私
廊下で先生を捕まえた
「先生!どうですか?管を入れる検査は?あれ前にやって相当しんどがってましたけど、やった方がいいんですね?」
「もう、検査をやる体力はないと思います。ギリギリできたのは3日ほど前です。もう、やっても意味ないかもしれません。」
「え… どういう…?」
どういう事なんだろう…足元がグラリと揺れた
「あの検査は辛いですし、オペが必要となっても体力的に無理です。」
「もう…ダメなんですか?」
「あと1週間から2週間ですね。今でも酸素マスクをしてないのが不思議なぐらいです。」
「え… 主人は どうなっていくんですか?」
「このまま意識が薄れていかれます。最後は痛みを取り除く薬を考えてもいいかもしれませんね」
冷静にならなきゃ
しっかりしなきゃ…
どうしよう
どうしよう…
先生に頭を下げ病室に戻って
無表情でずっと前を見ている旦那に私は言った
「もう検査辞めような。イヤやんな!」
旦那は子供のように うん。とうなずいた。