『この男性なんですけど...』




1枚の名刺を差し出した




そのオトコは、前に京都のホテルで



お得意様を招いたパーティに潜入した時に出会った



F社長である



自分の友人の取引のある会社の化粧品をあげたいとメールで連絡があり



先日、断る理由もないのでホイホイ貰いに行った




北新地のホテルのロビーにて集合



心斎橋からタクシーで行った



着くと



『タクシーいくらでした?』



と聞かれ



『千円ちょっとです』



と答えると



じゃあと2千円渡された



『えー?!結構です!いいです!』



ちょっとビックリ



『いやいや、来てもらったんだから当たり前だよ』



『困ります!貰えませんよ』



『いーからいーから!』



『いや、ホントに貰えません!これではぜんぜん足りないですから!』



『え...』



『あははは...ウソですウソ1180円です』



『あははは...』



F社長はアタシのカバンに2千円をねじ込んだ




ま、いーか。もらっちゃお




『鮨でもどうかと思って予約してます。すぐそこですから。』



『ありがとうございます。いいんですか?』



『あ、これね。約束のコスメ!重たいよ。あとで渡そうか?』



『こんなに?すみません。あ、持ちます持ちます!自分の物は自分で持ちます!』



出会って1分で2千円と化粧品GET





F社長の行きつけの店に入った



高そうな店でモチロン美味しかったし



F社長の気取らないカンジも良かった



紹介してくれた元アナウンサーの女性とは35年の付き合いらしい



35年もお友達なら、まぁ悪い人ではないんだろーなぁと思った



芸能人の友人も多いし、色んな異業種のパイプを持つ社長



そんな話もイヤミではなかった



案外紳士なんだ~




『京姫さんって、しっかりしていて勝ち気でしょ?キツイでしょ?』



ん?アタシ?



どーなんだろ?キツイとかは言われたコトないけど、、、



争い事も好きじゃないし、、、



『メールで書いてたでしょ?どこの馬の骨か分からない私にって。あ~~京都人らしいなぁって思ったよ』




そうだ。そう送ったな。1度しか会ってないのに化粧品やるだの鮨連れてくだの。どこの馬の骨か分からない私に大丈夫ですか?って



『そんな事言う人初めてだよ!』




どうやらツボにはまったらしい



だって、ホントだもん



てか




どこの馬発言が京都らしいなんてそーなの?



彼は北海道出身で東京の大学、海外での生活や仕事であまり京都は知らないんだそうだ




アタシの発言が京都代表みたいになって、京都の皆さんすみません




そんなこんなで、たらふく食べてたらふく飲んだアタシ




とっとと帰りたかったけど




貰うだけもらって、食うだけ食ってサヨナラとは言えずもう1件




社長行きつけのクラブへワイン





そして席についてしばらく





紳士だったF社長の本心が明らかに






                つづく