人間は虚栄心を満たすことに快感を覚える。世の中にあまた存在する人間の中で、相対的に自分のランクがどこなのか、を知りたがる。ランクが上であれば快であり、下であれば不快を覚える。これは多くの人に共通の特徴である。

虚栄心を満たすには2つの道がある。「財産への道」と「徳への道」である。「財産への道」は富・高い地位を得ることで虚栄心を満たす道である。「徳への道」は徳・英知によって虚栄心を満たす道である。

「徳への道」を極めることで、人は心の平静を手に入れ、満たされる。なぜなら、自分の中で形成される「こうすべき」という観念(=公平な観察者)と矛盾しないからである。

これに対して「財産への道」ばかりを優先しようとすると不幸になる。なぜなら、財産は一定以上はあってもなくても幸福の度合いは変わらないからである。むしろ、財産があればあるほど、無駄なプレッシャーや人間が近づいてくるため、無い方がよいともいえる。


と、この本に書いてありました。
アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)


なるほどな、と思う。すごく納得感がある。
自分はどうしよう。徳への道、という視点を忘れないようにしよう。
と考えていた矢先、プロフェッショナルという番組で武装解除のプロ(女性)が出てきた。スーダンの紛争地に単身飛び込み、現地の人からヒアリング。その結果を政府の上層部に伝え、政策を提言する。

なんという素晴らしいことをしている人だ、まさにこれこそ「徳への道」を進んでいる人であるよなあ
と思った。

この人は世間からの賞賛を受けている。
また、自分の価値観に沿って生きている。

この人は、高いものを食べているわけではないし、高い家に住んでいるわけでも、高い服を着ているわけではない。これに対して、日本の六本木ヒルズに住む人たちは、お金をたくさん使い、自分の欲しいものを欲しいままに手に入れている。


本質的に幸福なのは、果たして誰だろう。



そして、自分が徳への道を歩むとしたら、どうやって歩もうか。
マイクロファイナンスのように、金融によって、「最低水準の富」を得られる人口を増やす方法は無いだろうか。