※注意※


 書いてる人の頭が当社比1145141919倍イカれてるので普段以上に色々崩壊しています

ご注意ください。




 以下本編↓ 




 それは突然始まった。 


「どんな時でも笑いを堪える忍耐力を鍛える。その為の訓練だ」



 司令官はそう言っていた。


「これは特別訓練です。記録の為、今回も撮影クルーが同行しますが気にしないようお願いします」 


前回同様訓練内容に不満は無い。

そしてこのバス移動と『ベース334行き』という行先表記にも何ら疑問は無い。

兵士というモノはどんな時でも何事にも耐える忍耐力がなければ務まらない仕事。

その訓練と言われれば別に何の疑問も感じないが



「………なぜまた俺が選ばれたんだ」

「今回は我々も道連れですか大尉……」

「大将がいねぇのが納得行かねえよ」 

「仕方ないですよ。ストーム1はリアクション薄いですし……」 



 今回もメンバーがおかしい。 


 まず俺こと大尉。 

 そして部下達の計4人だ。


 ────まあ3人共暇そうだったので道連れにしてみたのだが。 


コレを言ったら恐らく俺の命と昼飯は無いだろう。


 「停車します」 


 少佐の声と共にバスが停車する。


どこかの停留所に停車したらしい。

 前回のように誰かが乗って───── 



「ん"ん"んん!!」 


 それを見た瞬間変な声が出た。

 部下達は床で笑い転げているし、少佐は顔を伏せて肩を震わせている。 


乗ってきたのは科学技術研究部の主任。 

プロフェッサーだ。


 奴が1人で乗り込んできた。 


 しかしその格好は
いつもの服の上からゴールデンなビキニを身に着け両手に『今日も元気なカマドウマ』と書かれたプラカードを持っている。 



なんなんだコレは。

そして元気なカマドウマとは一体何のことだ。

いやそれはともかく前回にも増して狂っているじゃないか。 


 「やあ大尉」 


 その姿で爽やかに笑うのはやめろ。

 そう思ったが笑いすぎて俺の表情筋は死にかかっている。 


 いや、待てプロフェッサー。

 何故オレの真正面に立つ。

邪魔だ。 


 ───ちょっと待てこの流れはまさか。 





「プロフェッサー、スタンバイ」 


 急に真顔になったプロフェッサーがそう呟くと車内に軽快な音楽が流れ始め曲名がバスの行先指示板を奔る。


DAISUKE────が鳴り響く。 



 そして 



「ヒーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」


部下達が崩れ落ちる。


その笑い声は軽快なビートを引き裂いたが、プロフェッサーは動じず真顔だ。

そうだ真顔で踊っている。


また俺は何を見せられているんだ。


非常にキレ良く踊るのはいつもの服の上からゴールデンビキニを着たプロフェッサー。


それを至近距離。 

目の前で見せられている。 


 こんなものに耐えろだと?



───いや、耐えてみせる。

 前回は死神にやられたが今回こそ負ける訳には


『DAISUKE』



 ビタッとポーズをキメて動きを止めるプロフェッサー。 


 その瞬間に着ていた服が弾け飛びプロフェッサーはゴールデンビキニ姿になった。

いや、まだだ、まだ耐えてみせる。 


 そう思いながら笑い転げる部下達を横目に必死に耐える。


─────だが


「これは妻のビキニなんだ。フィット感が違うだろう?」




 俺はここで決壊した。


フィット感なぞ分かるわけ無いだろう。

思わず吹き出した所でプロフェッサーは何事も無かったかのように誇らしげに下車しバスは再び走り出した。


「待て待て待て!あのまま出ていくのかよ!!」

「あ、あのまま歩いてる!!歩いてるぞ!!」

「ダメだもう腹筋が死ぬ!!!!ダメだ!」 



 舐めていた。


 前回のゲーミングリムリーパーが薄れる程のインパクト。


 本部は前回以上に俺達を試しに来ているようだ。

それにしてもまさかプロフェッサーがあんな風に現れるとは。 


 そうなると────この流れから察するに次に現れるのは恐らく『ヤツ』だろう。 


 「停車します。ご注意ください」 


 バスが再び停車した。


ドアが開く。

俺の予想では恐らくストーム1が現れるハズだが、乗り込んで来たのは───白衣を着た女性。


 首から下げたネームには科学技術研究部の文字が記されているが俺はこの人を見たことが無い。 


そういえばラボに籠もっている怪しい女性研究員が居たが彼女がそうだろうか。 


 いや、それにしても随分と不敵な笑みを浮かべ俺達を見据えている


一体何者───


「フフフ………アーハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」


そう思っていたら急に高笑いを始めた。


 部下達は突然の事に目を丸くし俺を見たが、俺も状況が理解できない。 


「アーハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!アハッ!!!!アーハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」 


 そんな俺達を知ってか知らずか高笑いを続ける女科学者。 

 一体何がどうなっているんだ。 

まさかこの笑い声に釣られないように耐えろというのか?

そういった訓練だとしたら我々には何の効果も無──── 


「アーハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハンガングヴェッッッッ!!オオァァァッホ"ァ!!ヲァォォァッフェ!!!!ヲ"ェッッッッブェ!!」


 ここで高笑いを続けていた女科学者が派手にむせた。

そして俺も部下もここで決壊した。


 まさかこんな事で笑わされるとは思わなかった。


何よりそのタイミングは反則だろう。


そう思っていると女科学者は激しくむせながらバスを下車し入れ替わりに──── 


「ショートコント、卵」 


 二人は現れた。

ストーム1とオペレーターだ。 


 「卵形の宇宙船!卵形の宇宙船があるはずなんです!」


「はい」


「そうそうこれですよこれ!ってこれ茹で卵やないッッッかーい!!!」 



 ───季節は夏。 


 外気温は確か35℃だったハズだ。

 それなのにマイナスに近い寒さ、真冬の八幌の寒さを感じる。


 今回こそダウンジャケットを持ってくるべきだったろうか。


 部下達も「これダメじゃないか?」とか「大将の目が死んでるぞ」とか「放送事故ですよ」等と言っている。


 ああ、俺もそう思う。 


 「今回も全然ウケないじゃないですか。どうなってるんですかストーム1!!!」


 ───流れが変わった。

 ストーム1の顔面に見事な平手打ちが入る。

 いい右だ。素人目に見ても世界を狙えそうだ。


 「いやまt」


返事をするストーム1に再び平手打ちが入る。

左も良い、ライト級辺りなら狙えるかも知れない。 


 それはともかく非常に痛そうだが大丈夫なのか色々と。


「今年こそ絶対ウケるって!言ったじゃないですか!どうしてくれるんですか!有給3日も使ったんですよ!」 


「って話だn」 


 もう一発入る。


 ヘルメットが吹き飛び少佐の顔を直撃した。

ここで部下Bが決壊する。


「もう!!基地に帰ってネタの練り直しです!絶対許しませんからね!!」


「やめろォーーーーーーーー!!!」


オペレーターに足を捕まれ引きずられながら下車するストーム1。 


 途中ストーム1がステップに二回後頭部を強打し


「そうだな」


「助けてくれェ!」


と無機質に呟いた辺りで俺達は決壊した。 


 「大将!お前ホント!ホントよぉ!!」

 「ストーム1は出てくるだけで怖いな…」 

 「なにがしたいんですかあの二人……は、腹いたい…」 


 それにしてもオペレーター。 

 ストーム1に何発か平手打ちを喰らわせていたが、大丈夫なんだろうか。 

 アイツはスイッチが入ると何をするか分からない。

彼女もそれをよく知っているハズだが。


 「ファーーーーーーーーーーーーー!!!」 


 僅かな静寂を部下の引き笑いが引き裂いた。

 窓の外に目を向けるとストーム1はオペレーターではなく、ゴールデンビキニを装着しリオのカーニバルじみた姿に変貌しているプロフェッサーに土下座していた。 


 「第10世代型のコントではダメだったか」 

 「はい」

 「それより、その格好!水着になる理由あるんですか!?」 


 「あるとも!!!!」 


 待ってましたとばかりに渾身の「あるとも」とドヤ顔。

こっちを見るな耐えられん。


 これには再び床をバンバン叩き爆笑する部下と俺。


 おまけにその格好で小粋にステップを踏んでいるもんだからたまらない。


そして首から下げた看板に


「大人のトイ・ストー◯ー」


と楷書体で書かれてるのは何故だ。

 版権元に処されてしまえ。 


「目的地到着です。皆さん、私についてきてください」


 ストーム1他が撤収する姿を尻目にバスが停車した。


 俺達は少佐の後に続いて下車し明らかに廃校に看板を打ち付けただけであろうベース334。 


その異様な佇まいの建物の前に整列した。