私と彼女は、10年前に今の職場に

入りました。

彼女は、

手話もできる人と言う条件で入り、

一般事務のほかに、いつも手話の

お仕事があり、忙しい毎日でした。


そうしてるうちに、手話通訳者の

職業病とも言われる


けいけんわんしょうこうぐん

 『頸肩腕症候群』   


を発症し、入院を余儀なくされ、

長期の病気休暇という結果になり

ました。


特殊な病気なだけに、県外の

離れた病院に入院し、愛する

旦那さんとも月に1回程度しか

会うこともできず、約1年の

入院生活を送り、やっと家に

帰ってきた彼女の手首には傷が

ありました。

頸肩腕症候群という病気は、

頭痛や手のしびれ、体の脱力感の

他に、精神的なうつ病のような

症状も出るらしく、入院中に、

何度かリストカットをしたそうです。

でも、覚えていないと言ってました。


その後、徐々に復帰ということで、

半日の勤務から始めました。


そして、普通勤務に戻ったころから、

まだまだ無理しちゃいけないのに、

毎日のように残業、休日出勤が続き、

他の係の尻拭いまでしてました。


当然、体が不調を訴え、出てきては

休むの繰り返しでした。

なのに、

彼女の上司は、見て見ないふりで、

課内で調整するとか、彼女の病気に

ついてみんなに説明するとか

まったくありませんでした。


さらに、無神経な同僚から、

毎日のように

『給料どろぼう。早くやめちゃえば。』

という暴言も続きました。


そんなある日、仕事でいつも

尻拭いをさせられてる原因の女の子が

やるべきことをやらずに、たいへんな

ことになり、結果、それがバイト

の子のせいになったそうです。


彼女は、鬱ぎみな状態だったので、

その事件に耐えられず、こんな

職場、誰も信用できないと思い、

何もかも嫌になり、自殺未遂を

はかりました。


私もそのころ、離婚前で自分も

辛くて、余裕がなかったものの、

彼女がそこまでおいつめられて

いることや、無神経な暴言を

聞き流せなくなっていることに

気づいてあげられなかったことを

情けなく思いました。


3日間、昏睡状態に陥り、

医者には3日目の夜に、

このまま目が覚めなければ、

だめだと思ってくださいと

言われたと聞き、

いてもたってもいられず、

お見舞いに行き、呼びかけました。


翌日、旦那さんから意識が戻った

という知らせをもらい、すぐに会いに

行きました。


でも、意識はまだもうろうとしていて、

私とお兄ちゃんとチビの名前は

言うものの、話す内容が支離滅裂でした。


それでも、意識が戻ったことが

うれしくて、私は涙がとまりませんでした。


それが、昨年の3月でした。