「条約批准のために共謀罪新設が必要」はウソだった
26日に開かれた共謀罪の院内集会にいってきました。
共謀罪を新設する根拠として、政府がさんざんいっていた、
「国際条約を批准するためにどうしても必要」というのが
ウソだったということが、よくわかりました。
わたしが一番びっくりしたのは、
条約締約国の国内法整備状況については、2004年から
2006年まで毎年締約国会議が開かれていて、そこで報告
がなされていたこと。
日本政府はこの会議に毎回出席していること。
しかも、各国の報告書や、条約批准に際しておこなった解釈宣言
や留保の通知が、国連のホームページで公開されていること。
http://www.unodc.org/unodc/en/crime_cicp_convention.html
だから、他の国の国内法整備状況について、日本政府が知らなか
ったはずはないのです。
なのに、いままで、条約を批准した他国の国内法整備状況について、
何度質問されても、政府は「わかりません」と答弁していました
(「昨日今日、電話で聞いたけど、わからなかった」といった
ときもありました)。
各国の状況を正直に答えると、「じゃあ、共謀罪なんて必要ないじゃ
ないか」ということになってしまうから、としか思えません。
各国の報告書を読んで分析してわかったのは
・アメリカは、批准の際に条約5条を留保していた。
(条約5条は、共謀罪新設の根拠となる法律です。日本政府は
これを留保することは許されないと、答えていました)
・セントクリストファーネーヴィスは、合意罪について「越境性」を要件
とし、しかも、批准にあたって、留保も解釈宣言もおこなっていない
(「合意罪(共謀罪)に関しては越境性を要件としてはならないと条約
が要請している」と、日本政府は説明してました)
・ブラジル、モロッコ、エルサルバドル、アンゴラ、メキシコは、条約が
求める「組織犯罪集団が関与するすべての重大犯罪を運用対象」と
していないことを認めている
(アンゴラは、HP上でみるとまだ批准してないみたいですけど、他の
国はすでに条約を批准してます)
・条約批准のために、国内法の原則を崩した国はみあたらない。
ということだったそうです。
9月14日に出された日弁連の意見書は、こうした分析をもとに書かれています。
日弁連意見書
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/data/060914.pdf
【意見の趣旨】
政府と与党が導入を主張している「共謀罪」の規定は,我が国の刑事法体系
の基本原則に矛盾し,基本的人権の保障と深刻な対立を引き起こすおそれが高
い。さらに,導入の根拠とされている国連越境組織犯罪防止条約の批准にも,
この導入は不可欠とは言い得ない。よって「共謀罪」の立法は認めることが,
できない
(MI)