共謀罪は本当に必要か | 共謀罪ってなんだ?

共謀罪は本当に必要か

6/1にニュースが駆け巡った「与党が民主党案を丸呑み?」といった動きは、
その後の報道でもあったように民主党が与党の提案を拒否という結果となりました。

今回、新聞やテレビはこのニュースを大きく取り上げ、
また、多くのブロガーやネットワーカーが情報を補完し合い、
さらに、多くの人たちが民主党や法務委員にファックス、メール、電話などで、
声を届けたそうです。

当ブログでも、ブログで話題に取り上げること、
議員に声を届けることを提案しましたが、
とても多くの方が応じてくださったことに感謝します。
本当にありがとうございました。

民主党が与党の提案を拒否した背景には、
細田博之自民党国会対策委員長による
「取り敢えず成立させ、その後修正すればいい」という発言、
そして麻生外務大臣の「民主党案のままでは、国際条約の批准は出来ない」とい
う発言がありました。
(※外相の発言の正否については、情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介氏の取材メモ)
の情報をご参照ください)
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2005/07/post_2f5a.html

こういった状況を鑑みると、与党、野党、そして政府の間での思惑の違いが、
共謀罪創設自体を難しくしているのかもしれません。
さらに国民の大多数は、この「共謀罪」というものに、
大きな不安を感じています。

ここで、原点に立ち返ってみましょう。
そもそも「共謀罪」というのは、本当に必要なのでしょうか?

「共謀罪ってなんだ?」のサイトでも触れていますが、
国際条約を審議する会議で、日本政府は当初、
「すべての重大犯罪の共謀または予備の諸行為を犯罪化することは、
我が法制度に首尾一貫しない」と述べていました。
つまり、共謀罪の創設には懐疑的だったのです。

さらに、条約は立法にあたって各国の国内法の原則にしたがうことを
認めています(第34条1項)。
ですから、「国際的な組織犯罪を防止する」という条約の趣旨を損なわない限り
で、国内法の原則に矛盾するような規定については、留保をしたり、独自
の解釈を行うことができるわけです。

つまり、国際法を批准するために、新たな国内法を作らなければならない、とは、
どこにも書いていていないのです。

政府・与党は、このあたりを、随分と「誤訳」した上、
その「誤訳」を「公式なもの」として公の場で発言、
マスコミはその発言を、(迂闊にも)そのまま流してしまっているため、
市民の中には、それが「正解」と信じてしまっている人もいるようです。

与党の中からは「国際法として決めたことだから、
日本だけがやらないというわけには行かない」という発言が聞かれますが、
それでは各国はどういう状況なのか、ということを、
実は政府もろくに把握していないことは、国会答弁で既に露呈しています。

国際条約が求める要件に、果たして本当に現行の国内法では
対応不可能なのでしょうか? あるいは、現行刑法の基本
原則は維持しつつ、ごく微細な修正で対応はできないのでしょうか。

今回の法案審議で、そうした根本的な議論は積み重ねられていません。