友人の釈明 | 桑木聡のブログ

友人の釈明





先々月、同い年で幼馴染の「さあ君」が離婚した。








久し振りに膝を交え、

とあるチェーンの居酒屋で、

熱燗に舌鼓を打つ。








私は問うた。








「どうした?何故そうなった?」








彼は答えた。









「お前は知らんかもしれんが、

 K2という山に二人で登ろうとしたんよ。」








「五合目までは、

 まぁまぁなんとか順調じゃったが、

 そっからが大変でのう。」








「最終的には、

 こりゃあ違うかの思うて、

 一人で下山したんよ。  ハッハッハ!!」









正直、寝不足で倦怠感が私を包み込む中、

咥え煙草の煙が直撃する右目を瞑り、

半ば義務で問うてみた。









「もうちょっと、頑張れば良かったのでは・・・」









彼は少し間を置き、

頬杖の手を胸の前で組み替え、

何故かちょっとだけ誇らしげに答えた。








「彼女と頂上からの景色を、

 一緒に見ようとは思わんようになったんよ。

 分かち合う・・・・何とか・・・・みたいなやつがのぉ」








取り敢えず、

二回ほど軽くうなずき、

生返事を返しておいた。








少しだけだが、

彼の言葉は理解が出来た。








苦節苦難を乗り越え、

頂上に立った自分の横にいるのは、

彼女ではないと。








いやいや、そうでは無い。








一緒にこの山を登るのは、

彼女ではないと・・・・・

彼女ではなかったのだと・・・・・










彼の回答は、

「正解」 なのか 「不正解」 なのか??










どちらでも構わない。











「選択」 したのは彼自身。

最良の 「選択」 だと思ってやりたい。











そんな事より、彼の引っかかる言葉・・・・

「お前は知らんかもしれんが・・・・」












エベレストに次ぐ、

「世界で二番目に高い山」

くらい知っとるわ!!!!!











本当に失敬な奴(笑)













がんばれ