くろごませんべいです
こんばんは
紫のバラの存在の幸不幸と題しました人間関係や心情の考察シリーズの続きです
私は心理学の専門家ではないので独断と偏見とコダワリのある独自の感性でお伝えします
何故紫のバラの存在がガラスの仮面の中では良いも悪いも表裏一体なのかという話について論じるのはまだ先の予定です
この前は恋愛感情なのか拘りなのか定かではないという男性の心境や登場人物の名前は意味があるという推定を書きました
今回は登場人物達の脇役もマヌケで頭がおかしい事も、レギュラー登場人物は専門的な天才秀才故に頭のネジがおかしい事も作品の面白さの部分です
ガラスの仮面はキャラクターの類似性と真反対の対極性がスパイスとなって読む人を惹きつけており、大体の事が良いも悪いも表裏一体なのです
演劇の為の専門漫画という表面と、努力と恋愛と友情と親子関係、仕事、運、商売などの全ての教科書と言ってもいい位の漫画だと感じております
また流して読むと過激の一言ですが丹念に読むと作者美内すずえ様は人間関係や成育歴と人間の個性と思考回路をすべて悟ってるという感じです
私は手術後の酸素器の一件の後で「まだ死にたくない理由は何か」と、ふと考えた事があるのですが犬を残して先に死ぬのは無責任だという事と犬達の行く末が気になる事や、もう1つは「ガラスの仮面の最後が読めないまま死ぬのは無念
」とも感じて相当ガラスの仮面に洗脳されてるファンです
ドラえもん、クレヨンしんちゃん、サザエさんなどの漫画は比較的ごくありふれた家庭が描かれてます
クレヨンしんちゃんの家庭の真相は闇ですけど・・・物語の家族構成は素直に受け取れば平均的な日本の家庭を描いてました。ドラえもんも、サザエさんも同じ。昭和の雷おやじがサザエさん、子どもを叱る教育的な母親がのび太みたいな
では、ガラスの仮面の主人公北島マヤの家庭が平均的に収めずに異常すぎを連投して読者は惹きつけられる事をまずはお伝えします一見良さそうな登場人物も家庭は殆ど以上と思っていい
主人公北島マヤの母親の名前は春。父親はマヤが幼い頃に亡くなっておりいないこの母親の死亡が北島マヤと速水真澄の純愛が進まない大きな障害となってるのです
かつての大女優で紅天女を上演する権利を有する月影から名作の上演権を譲っていただく野心がある速水真澄は、大人の事情の汚い争いをマヤに見られてしまい、マヤからの信頼を一気に失なってしまい、いつも気になってしまう少女マヤを正々堂々と支援できない事が初期に起きます
何も天才女優の卵は北島マヤだけではなく姫川亜弓、その他にもいるんですが彼は姫川亜弓達に固執する事はない様子
亜弓は表面で愛を演じるので基本誰かを愛する事がない技芸の部分では天才なので大都芸能に取っては金になる女優ですが、男性から見て何もかも素晴らしい女性なのに愛が欠損してると愛されはしないとは思います。そんな亜弓も熱心な男性から愛されて情を感じるまで成長してます
やっと20代初め頃の姫川と北島。それぞれ全く違う恋愛を経験しており人生経験を重ねて成長中
速水真澄は人間臭い正直な純粋な女の子が良いのでしょう彼は容姿と社会的立場から考えるとグッチやディオールが似合う洗練された女子が似合いではありますが、予想に反して貧乏で毒親育ちの垢ぬけない天然天才と素直な性格の北島マヤが愛する相手です
北島と同じ年齢なら誰だって全てを備えている洗練された姫川亜弓に惚れるはずですが、速水の場合は毒親育ちという観点で北島と類似しており、類似性と自分の立場の対極を二つ備えた北島マヤに関心を寄せるんです
外枠の裕福な生活と美貌と人気で類似する姫川亜弓とは共感する事はあっても対極点がないので速水社長は彼女に魅かれない人間は惚れる場合はルールがあって、ある程度の類似性と対極バイアスがかからないと惚れないんです
少女漫画の基本はヒーローが自分とライバルのどっちを選ぶのかで描かれる事が多いのに対して、この作品の作り方は次々湧いて出てくる登場人物が男女問わず主人公北島マヤに執着し固執するという異色の展開法ですので時に大笑いとなりいつもドキドキする仕組み定番の恋愛物語のようにありきたりじゃない
影でマヤを支え応援してきた紫のバラの人である速水真澄が、春の死の原因を作ってしまったので恋愛が進まないという大きなテーマが障害となってます
毒親であっても一人の肉親を失ったマヤの嘆きはとても深く、この事件をきっかけにマヤは「月影先生を陥れようとした嫌味な社長速水真澄」という印象から「速水真澄個人を憎み続ける」ことになる
真澄は自分のしでかした事を深く後悔し、この事件の後、正直になれず長くずっと暗い恋愛感情を持ち彷徨う事になります。元から頭が良すぎる為に幸運を感じづらく暗い性格ではありますが
彼は北島マヤを一気に大スターに押し上げる為に、行き別れたマヤの母親との感動の再会をおぜん立てしてビッグニュースにしたかったので、準備が整うまでは春が表に出て来こられては半端になってしまう為、春を病院で軟禁して療養させてますが魂胆が悪い
それも気にかかるマヤと大都芸能の利益の2つの為なのですが、善意の観点で物事を悪くするにも行き過ぎであります。好きな女性が成長して大人になるまで待つ事と将来の紅天女の上演権利の獲得の為の準備を並行していたと思われます北島マヤは紅天女を演じる権利を取得できる可能性がある女優の一人です
春の死は素直に取れば速水真澄が一番悪いけどよく考えたらこの北島親子も異常
大雑把に言うと、かねてからマヤと春との不仲に疎遠の原因があって、速水が遠隔的に関与しただけで崩壊したけど、速水が関わろうが関わるまいがこの親子は崩壊するのは目に見えてます
この事件は速水が悪いという意見もある一方で、娘の北島マヤが家出をして一切連絡が取れてない母親の事を不思議とも気にかけもせず芸事に熱中してたのが悪いという意見もあるけれど、まずは親子揃っていびつなのです春が被害者という訳ではない
むしろ春が娘に関心がなく家出した先の月影を訪れるも月影から引き渡し拒否にあい、それからは放置し自分が病になってから娘を探すご都合主義もおかしな母です
マヤと母親春の関係はこんな感じです
マヤには幼い時に父親が亡くなっており、母親は中華料理店の住み込み店員で家は貧しくケーキも滅多に食べられないそんな家庭。マヤは芝居やモノマネが好きで得意であり、ある日、大昔の大女優月影千草に才能を見出され、演劇への進路に目覚めてしまいます。春は最初からマヤが演劇をやることに反対していた
一人娘のマヤの才能に見向きもせず「ボタン付け一つできない」「ツラはよくないし何のとりえもない」「死んだ父親に似たのかね。わが子ながらに愛想がつきる」などと、子どもをけなして言論DVの親と言ったところですが、昭和の戦後生まれの親はよくあるのか別のドラマ作品でも俳優でも似たような話って幾つか聞くもんですが今では立派な言論DVです特に昭和の生まれの読者はこの部分を酷い親だけど周囲の親子を見まわしたら良くある話としてスルーしてしまいがち
令和の今では直ぐに読者は問題視すると思う
月影千草の経営する劇団に入りたいと娘が訴えても春という親は
「お前は気が確かなのか」「何寝ぼけた事を言っているんだ」「お前にそんな才能があるもんかね」「母さんはお前にそんなことはさせやしないよ」
と言って、これでは天才素質があっても何もできない凡庸で育って終わる親の教育の在り方ですマヤは母親を説得するのを諦めてしまい家出して月影の元に行ってしまいますが自暴自棄になり家を出てる訳ではなく、演劇をする事を夢見て未来の自分に希望を持って家出してるんで
家庭が嫌だから家出する良くある家庭不和が原因の家出とは全く違う・・・これもおかしな価値観の主人公です
春は月影に娘がいると突き止めて「お前みたいな何の取柄もない娘が女優になれるもんか」と暴言を吐き、月影の元にいるマヤを連れ戻そうとしますが、逆に月影には「この子を何の取柄もない子にしてしまっているのはあなたです。わたしならただひとつの取柄を見出し育てることができる」言い返されてしまい「お前なんかわたしの娘じゃない。二度と戻ってきたら承知しない。このバカ娘」と言い捨てて帰ってしまう母親春
マヤが母親と顔を合わせて話したのはこれが最後です次はご遺体での対面となるのです
この後春は、娘のやる事に賛成する気になり、月影あてに洋服と手紙を送ってはいますが、先日の月影への無礼のお詫びと反省、娘を宜しく頼むという内容、娘にそちらの生活を知らせてもらうようにと母親としての願いが書かれていて、母親になったかなと思われるんですが、元々毒親というベースが「娘に関心がない」部分にありますんで、ちょっとだけまともな親になってます
手紙を読んだ月影は「あの子に必要なのは過去との決別。戻る場所のないこと」と言って、手紙を破り捨て衣類も燃やしてしまったので、母娘が再会する機会はなくなってしまいまして、月影はマヤを大女優に育てる決心がゆるぎなく、彼女を演劇にしか集中させたくないので、元の家庭を見向きさせたくないそんな自分の継承者を育てる為の事情
この月影が春からの荷物を焼いてしまったので、マヤと春が決定的に離れてしまう引き金になりました。荷物と手紙の存在を燃やされたぐらいの事ならば、正常に機能している家庭ならば何度も親側が子へ接触を試みるはずなので母娘断絶とならないけどまた、マヤは演劇に熱中すると他の事が出来ないので近況を春に知らせる事もない
マヤ自身も月影を通して母親と距離を置く決意したのも永遠の別れの理由の一つ
マヤが劇団つきかげに入って今度は劇団が潰れます。既に劇団に入った時点でマヤは生徒の中で一番の有力候補生徒となって活躍してますが、マヤはこの時まだ13歳で自立は出来ず、少しでも演劇の進路を応援する態度を春が取っていれば、マヤの性格は素直で人を疑わない単純人間ですから、母親の事をもう少し考えたかと思います母に毒されて育ってても親を憎んでないという性格の良いマヤ
春は根底が娘に無関心の為に、マヤに会いに行こうとしないので会わないのです一度荷物を送っただけ・・・マヤの師匠である月影に怒鳴っても最終的には「娘をお願いします」と頼んだので、娘を応援して行くのが普通の親。春は応援はしなかったのです
春の思考回路は特殊なので、普通は荷物と手紙を送ったけど娘から返事が来ない場合は、自分から再び訪ねて劇団の見学なり、人を使って様子を探るなり会う行動をするという行動にならん面会を要求しても月影は親子断絶方向の意向なので会えるかどうかは断られて会えないと解る無理な話ですが、会いに行くくらいしないのはおかしい
月影から拒否され、顔を合わすことが出来なくても、娘の演劇の業界について興味を持って調べていれば、娘が演劇コンクールの東京予選で主役を務めて一位を取り、全日本コンクールに出場して活躍したりしている事を知ったハズ会えなくてもお客さんとして劇場で娘の成長を見ることもでき、劇場へ手紙を書いてマヤに知らせる事は出来たハズ
この時代はまだインターネットがなく、知らせる手は電話か手紙です
娘に関心を持ち、娘の才能を目にする機会があれば、二人はマヤの大らかな性格から予想すると再会できて娘の活躍を知らずに横死する事も無かったハズ
春は自分からマヤの事を調べず日を送り、週刊誌の記事の中でマヤの事を知るという「知り合いが活躍してる
私の知人なのよ」みたいなどこか他人のような知り方です
この時マヤは、劇団つきかげが潰れ住まいを移動していたので、消息不明になっていたのもあるけどそれを差し引いても他人事。春は娘が女優として活躍してる事を知ると大喜びはしてます自分で娘が何をしてるのか知ろうとしない無関心なのに自分が病で弱くなると身内が功を立てると嬉しいんでしょうか
うちの親のクレイジーは私が独身&結婚しても私が何をしてるかスゴク把握してたのですがそれは北島春と同じで支配できる範囲内にいるから支配の為であって、今は物理的に距離が離れているので自分の都合で支配も出来ない為に、私が何をしてるか知ろうとしない上に私が何をしてるのかも知らないらしいですが何か自分都合で言いたい事があると電話が来ることもあり、私は拒否してるけど番号を変えて電話をかけてきます自分の事だけアピールしてきます
恐らく著者は健全な人間の成長の為には支配と洗脳の思考の親と距離を取れって作品を通して言いたいんでしょう
春がマヤの出世と活躍を知って読者の考える事は「やっと母心が出て来た。やっと娘の才能の気が付いたよかった
これでいつか母子が良い親子関係になる日が来る
」となるんですが、そんなめでたしめでたしなんぞあるわけないんです
だってこの親子って二人共常軌を逸脱してる人間性ですから・・・普通のめでたしめでたしになるはずがない
娘親の事を忘れる位、演劇しか頭にない(こんな演劇しか頭にない部分が災いして友情が壊れやすく、桜小路というボーイフレンドが出来ても破滅になる)
母娘に無関心で他責思考なので自分から知ろうとしないので溝は埋まらない
春は娘に会いたいと思ったのは自分が病気になってから・・・結核になり中華料理店の主がクビとは言わずに長年の勤めに対して退職の恩給の様にして入院を勧め、春は受けたのです。その頃になると体が弱くなり急に娘に会いたくなる働ける状態ではなく病気になると誰でも疎遠な身内の事を急に考えるとは言うけど
ご都合主義が垣間見える
中華料理店を辞め結核療養所に行く途中の列車の中の偶然の出来事でマヤが演劇で活躍してるのを知る春春は娘の事を一度だって忘れたことはない、どこで何をしているのかと、思いを巡らせてますが
本人に会いに行こうという様子はまだ見られない上に「お前は母さんをわすれてしまったのか。そうだろうどうせ。出来の悪い親不孝な娘だよ」と、いつもの毒親思考が顕在してます
自らの不幸の原因を娘のせいにしている他責思考
娘に対する執着と支配性はあっても、なぜ生き別れるような事になってしまったのか、自分が原因だと反省してないクズっぷりです元々春が反省がある人柄ならば親子一緒に住みながら違う形でマヤは演劇をしてたと感じます
この時点ではまだ春は会いたいという言葉もないので、音信不通の娘を探し当てて会おうとする意思はない娘が社会的に成功してると知っても。娘に怨み言を思うけど会いたいという気持ちがない異常な精神それが春
春は、後に結核療養所を抜け出し行方不明になり別の病院で保護され、速水真澄は北島マヤ関連を探偵をつけて調べ回ってるので、速水に知れて療養という名の監禁をされ、行方不明時の栄養失調が原因で失明状態目が見えているうちに娘を探そうとしないのかが不思議です
くどいですが根っこの部分が娘に関心がないからの一言
マヤは、春が行方不明になったことを中華料理店の杉子から聞かされ、町中あてもなく探し回りますが、大都会の中で見つけられるわけもない演劇から離れるとマヤは正気に戻り普通の女子です
春もまた、せき込みながら街中をフラフラ歩いているところをマヤに見かけられるシーンがあります。ちょっとのタイミングで再会できたのですがガラスの仮面は残酷な物語なので、もうこれで会えない
深刻な事態の病気でただ成り行き任せに歩いているだけの春真澄のように探偵でも使わない限り、この時ではマヤ側からも、春側からでも互いを探し出すことは非常に困難な状況だったのです
目が見えてた時に雑誌社に連絡を取ったり、マヤが出演した劇場の住所を調べて、マヤ宛に手紙でも出していれば繋がったかもしれないけどそれもしない春中華料理店の娘が意地悪でも面倒見があって懸け橋になってたのだから頼ってもいいのにそれもしない
春はどんな思考の人だったのかどんな対人関係だったのか
そして最後は幸せだったのか
娘を本当に理解はして認めてはいたのか
についての意見は後にアップ予定です
異色の親だからこそ主人公の性格の良さが際立つ作品です
続く
参考ブログ まみい様より引用