はじめに…
ようこそ。この物語に出逢ってくださいましたこと、心より感謝申し上げます。
インディゴチルドレンの私のために、私の元にやってきた彼。今世では親子という形でめぐり逢い、人生で本当に大切なことを氣づかせてくれるため… 私を成長させるため…
としか思えないようなドラマティックなストーリーが次々と展開していきます。
どうぞお楽しみいただけましたら幸いです。




 

" Transit "

第1章 ㉓

【サクラ・・】

  

初の藝大 日本画の一次試験。

デッサン。

1日目。

6時間の集中。

 




1日目が終わると

続きの2日目に向けての対策に

画塾(予備校)に直行なのだ。

受験生たちが到着する頃には、

先生が課題の石膏を用意しているのだと。

それぞれの位置でアドバイスを受けるのだろう。

 

 


夜、予備校から戻るとすぐにお風呂に浸かり、

少しでも疲労回復。

そして準備していた夕食を食べる。 

疲れているのか、

明日の試験のことを考えているのか、

ほとんど口数もなく食べる。 

 


 

少しボーっとしていたが…

早目に寝るとのこと。 



私は昨夜と同様に

彼の自律神経を整えるよう、

また五臓の状態を元氣にすべく、

祈りを込めて

メディセッションを始めた。 


片足が終わるころにはスヤスヤと

寝息を立てはじめていた。 




2日の朝、

お弁当を持たせて

精一杯の明るさで送り出した。 

 

 

 

送り出した途端、

情けないことに私自身がドッと疲れてしまい

横になってしまった。 

 

緊張が漂う受験会場で

2日間×6時間の集中状態で描いているのは

私ではないのに。。。

 

   


1次試験が終わった。

本人的にやり切れたのか?

悔いはないのか?


デッサンより着彩の方が好きだと言っても、

この1次試験のデッサンをクリアしなければ

2次試験の着彩は描くことさえも許されないのだ。

 

 

本人に手ごたえを聴いても

わからない。

とだけ。。。 

  

高校受験の時のような

自信満々さは微塵もないのである。 

 

 

 

明後日(3月4日)の1次試験合格発表を

待つのみではあるが、

合格したら次の日から2次試験になるのだ。

 

2次試験に備えて、

1次試験が終わった次の日から

今度は予備校で着彩の練習なのだ。 

 

 

肉体的にも精神的にも

氣が休まらず、

ずっと交感神経バリバリのようだった。 

 

 

 

4日も朝から予備校に。

午後3時 の1次試験の発表を見に行くまで

着彩の練習。 

 

 

 

高校の友達、そう虫友でもある相棒の彼と

予備校から藝大に発表を見に行ったのだ。 

 

  


私は祈るようにドキドキしながら

連絡を待っていた。 

1次だけでも通って欲しい氣持ちで祈っていた。 

 

 

 

発表から数分後、LINEが。 

 

  落ちた 

 

と一言だけ。 

 

 

  

  そうかぁ。残念。お疲れさま。

  氣をつけて帰っておいでね。  

 

と。 

 

 


残念ではあるが、覚悟はしていたし、

やっぱり… というか、涙も出なかったが、

ボー然としてしまい力が抜けた。 

 

 

1時間くらい経つか経たないか、

またLINEが入った。 

 

 

  もうすぐ帰るけど、 

  友達(相棒の虫友)も一緒に行ってもいい?

  2人とも落ちた。 

 

 

  いいわよ。 

  一緒に帰っておいで。

  氣をつけてね。 

 

 

急いで片付けて落ち込んで帰ってくる

彼らを待った。  

なるべく明るくいようと。 

 

  

  

「ただいま。」


「こんにちは。おじゃまします。」


 

我が子よりも虫友の彼の方が

落ち込んでる様子だった。 

 


「お帰り。お疲れさま。残念だったね。」

 

 

虫友の彼は、家に帰りたくない、と

一緒にうちに来たのだった。 

暗い顔を見ているのも、私も辛くなる。 

 

 

「夕方だし、何か食べに行こうか⁉️ 

   何食べたい❓」

  

と、明るく切り出したが、 

2人とも、 

 

「外に食べに行きたくない。」

と。。。 

 

 

「じゃあ、ピザでもとる❓

 私は出かけてくるから2人で食べて。 

 飲み物は何がいい? 

 飲んじゃうか?ビール?ワイン?」

 

  

飲まなきゃやってられないのかと思い、

そう言ってみると、 

 

   

「ピザでいいけど、

 僕はジンジャーエール。」

 

「僕は牛乳で。」(虫友)

 

  

まさかの飲み物のリクエストに笑ってしまった。 

私が高校生の時は…と。 

今の子は、お酒を飲んだりしないのだ。

うちの子だけでなく。 

 

 

ピザ屋に牛乳はないわ〜と

私は近くのコンビニに牛乳とジンジャーエールを

買いに行った。 

  

  

ピザが届くと、

牛乳とジンジャーエールをそれぞれ

グラスに注いで、

 

「よし!来年合格おめでとう❗️」

と私も一口ジンジャーエールで乾杯した。 

 

 

虫友の彼が、一瞬固まった。

かなりビックリした顔で❓❓

そして笑った。笑笑 

私という人間に慣れている息子は

またか!という顔で苦笑いしていた。


 

 

「あなたたち、

 まさか現役合格する氣だったの?

   藝大日本画、そんなに甘くないわよ〜」 

 

 

 

私はそう言って、外に出て行った。 

彼らは2人で反省会?残念会?それとも予祝?  

  


 

 

本当は私も一人になりたかったのだ。

彼らの前では明るく振る舞うしかないもの。 


近所のワインバーでひとり呑み。 



なんとなく予感はあったが… 

一度くらい挫折を味わった方が良いと

思ってはいたが… 

浪人経験あってこそとは思ってはいたが…

浪人が当たり前と言われていたが… 

 

 

 

サクラ…散るどころか咲かなかったかぁ。。。 

 

 

 

でも、きっと、

この経験が必ず活きるはず!

この先、芸術家としてやっていくなら

これは絶対に貴重な経験なはず! 

浪人してよかったと思える時が来るはず!

と現実を受け止めて氣持ちを切り替えた。

 

   


実力不足を彼ら自身が認めて受け入れて

そしてどうするか。。。  


富士山でしょ!

そりゃあハイキングのわけにいかないわよ。 





 
つづく。。。 
 
 
  
 

à bientôt!ウインク