はじめに…
ようこそ。この物語に出逢ってくださいましたこと、心より感謝申し上げます。
インディゴチルドレンの私のために、私の元にやってきた彼。今世では親子という形でめぐり逢い、人生で本当に大切なことを氣づかせてくれるため… 私を成長させるため…
としか思えないようなドラマティックなストーリーが次々と展開していきます。
どうぞお楽しみいただけましたら幸いです。




 

" Transit "

第1章 ⑤

【新たな出逢い〜
 自分自身を取り戻した一年間と…別れ】
 
 
無事、5年間着た大嫌いな制服を脱いで、
6年生からは、
山の麓の自然に囲まれた小学校へと。。。   
 
校庭にたたずむ樹齢約450年の孝子桜が、
満開の花を咲かせて歓迎してくれただけでなく、
そこにあるすべてのモノや人たちが、
空氣が、温かく優しくて氣もちよく迎えてくれた。
 

 
と同時に、
毎朝、毎夕の車での送迎生活も始まった。
 
  

6年生は14名。(内、女子は2人)
担任の先生は男の先生で話しやすく、
お陰様で先生ともクラスメイトともすぐに
馴染んでしまっていた。
 
家の近所からも送迎で通っている子がいたり、
すぐに仲良くなっていて、
元の小学校の友達はもちろん、
新天地での友達にも恵まれていることが
何よりも有り難く心から感謝している。 
  
 
 
人生初ばかりの…
田植えや、稲刈り、
プールでの魚のつかみ取り、
お琴演奏、
14名の修学旅行、
学校と地域の人たちの運動会、
運動会でのまさかの応援団長、
古賀志山の親子ハイキング、
どんど焼き、
桜まつり、
タイムカプセルを埋めたり、
卒業式に謝恩会、、、 
 
 
 
彼はもちろん、私自身も、
この一年間は、6年分くらいの体験や成長を
させていただけたような…
その後の人生の、今の人生を生きる指針になった
大事な大事な一年間だったのだ。
 
人生の転換期の一つとなったこの一年があったからこその今なのだと、
多分、あの時、あの瞬間、
決断したことは間違ってなかったと。。。
  
 

時運を掴んでいたということか。。。


 






 
そしてもう一つ、  
 
私たち家族にとって最大の哀しみを味わった年になろうとは。。。
 
 
 
彼の中からサンタクロースも神さまも
消えていったのはきっと、
この時からなのだろう。。。 
 
 
 
生まれた時からずーっと一緒だった大切な家族を
姉弟のような存在を失うという初めての経験。 
 
 
 
6年生のクリスマスイヴ。。。
一週間ほど前まで元氣に走り回っていたアランは
みるみる痩せていって(癌の進行で)お水を飲むのも辛くなっていたのだ。
仕事も休みで、久しぶりに家族揃ったクリスマスイブの夕食。 
   
私はアランの痩せ細った辛そうな姿に耐えられず、食欲もなく会話もできずただ座っていた。 
 
 

まだサンタクロースを信じていた彼は、

サンタさん、僕のクリスマスプレゼントはいりませんからアランを治してください。
もう一生クリスマスプレゼントはいらないので
アランを元氣にしてください。 

と今にも泣き出しそうな顔で、涙をこらえながら、
祈っているのだ。   
(別にキリスト教や宗教信仰者ではないのだが)
  

 
アランは、食卓の匂いを嗅いだだけで、そっと
定位置のソファに戻り静かに聞いていた。
 
  
 
サンタクロースは彼の望むプレゼントの変更をすることなく、この年を最後にやってきた。 
 
 
  
静かなクリスマスだった。  

数日前から、寝室に行く階段の上り下りだけは、
体力が落ちてしまったアランも階段の前で抱っこされるのを待っていた。
 
 
 
そしてクリスマスの翌日、アランはひとりで階段を降りてきて、今まで通りに自分の役目を、早朝出かけるご主人様を見送った。 
 
 
 
役目を果たしてご機嫌なのか、サプリメントが効いたのか、本当にサンタクロースのプレゼントなのか、表情も明るく歩き方も元氣になっているような…
もしかして治っちゃうかも?
と彼も私も嬉しくなって久しぶりに笑顔が戻っていた。 
 
その日は、検査の結果を聞きに動物病院に行く日。
彼とアランを家に残して、私は一人で前向きな氣持ちで出かけて行った。 
 
 
 
結果は…
メラノーマ。 進行の速い悪性の皮膚癌だと。
みるみる口が開けられないほどの大きさになっていたためお水も飲めず、注射器でお水やサプリメントを飲ませていたわけだ。
手術できるか…体力的に…麻酔もリスク…
私の一存では今すぐ返事が出来ないと、
一度持ち帰らせてもらうことで泣きながら帰宅した。 
 
 
 
昨日までとは別人(別犬)のように、元氣そうにしているアランを見つめながら涙が溢れていたが、奇跡を信じていた。  
 
 
 
穏やかな一日が終わろうと…
まるで元に戻ったかのように颯爽と歩いてトイレに行く姿。
彼も私も、アラン治っちゃったわよね〜と。
アラン良かったね〜、もう痛くないね〜、
ランちゃんかっこいい〜、良かったね〜、
とニコニコしながら声をかけていると、
私たちの方を見て、
ピョン!とソファに飛び乗って、
こちらを見つめたままブンブンブンブンと力強く尻尾を振ってそのままソファの上に伏せたのだ。 

 
 
私たちが嬉しそうにアランの側に行くと、
息が荒くなり、
エッ??? 
嘘でしょ???
どうしたのアラン?苦しいの?

彼はすぐに出張先のパパに電話をし、
アランが、アランが、と…
 
電話から聞こえるパパの声を確かめると
安心したように、私と彼に撫でられながら
そっと息を引き取った。 
 
電話の向こうからは、泣きながら
アランありがとう。よくガンバったなぁ。
ありがとう。ありがとう。
と言う声が聞こえていた。 
 
 
 
生きていると、
時に残酷な現実と直面するということを
初めて体験した11歳と11ヶ月。 
 
大好きな大切な家族とのお別れという辛い体験をし、人生で一番暗い新年を迎えた。 


そして小学校生活も残り3ヶ月を切り、
親も子も卒業式の準備や、中学生になる準備でザワザワし始めていた。
  
 
小学生最後の授業参観、まさかの号泣になるとは…
 








 
 
というわけで、
一年間、自然と共に伸び伸びと過ごした大好きな桜の小さな小学校を卒業したのだ。 
 
 


 
つづく。。。
 
  
  

à bientôt!ウインク