さらば、景色見れなかった西伊豆!!~孤独な変態旅行~ | クレイジートラベラー!!~ロードレーサーで行く変態旅行記~

さらば、景色見れなかった西伊豆!!~孤独な変態旅行~


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西伊豆、堂ヶ島。


閉館し、静まり返っているはずの加山雄三ミュージアム。

その建物の影に隠れて誰かがいるのか、なんとも気持ちの悪い鼻歌が聞こえていた。


(二人を~夕闇がぁ~包むぅ~この窓辺に~・・)


俺はベンチの上に敷いた寝袋の中から、今にも降ってくるような満点の星空を眺めていた。


(幸せだなぁ・・僕は旅をしている時だけは幸せなんだ。)


そんな幸福感に満たされて眼を閉じようとした時、森の暗闇からガサガサ、バキバキと激しい物音が立ち始め、さらに耳をつんざく様な「ギィーッ!!」というわめき声が響いた。


(・・え?一体何なんだ!?)


未知の恐怖にかられ、寝袋に潜り込んで子犬のようにおびえていたが、数秒後にはもう爆睡していた。


変態の必殺技①:どんな状況下でも爆睡。


時計AM3:30、起床!!


まだまだ星が瞬く夜空の下、出発の準備を始めた。

これから先は、「リアス式海岸無限回廊」が遥か沼津までひたすら続くのだった。しかも西伊豆の道は、本当に真っ暗だ。


変態の必殺技②:旅の時だけは早寝早起き。


まあ、こんなのは初めてじゃない・・かつて5回ほど伊豆半島一周してそのうち2回はこうして真夜中だったじゃないか。

と、自分を無理やりに納得させようとするが、やはり腑に落ちない。


俺は・・なんでこんなことやってるのか?


ピンク色のロードレーサーがそんな疑問を抱え、冷たい夜風に吹かれて深遠な闇の中に溶けて行った。

↑参考写真:日中の堂ヶ島。

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堂ヶ島を出ると、ほどなくして「恋人岬」なる場所を通りかかる。

こうして冬間近の真夜中にやってくると、気温が5度は下がるんじゃないかと思われる。


ああ、なんて寒いのか。


何だかギャグみたいな、恋人が一生出来ない俺のためにあるような岬だ。


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立派な温泉旅館が立ち並ぶ、谷間のような土肥温泉の街を駆け抜ける。

西伊豆から沼津の間、24時間のコンビニがあるのはこの町だけなので、さっと食料の補給を済ませてしまう。



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町を出ると、再び明かりが一切ないアップダウン激しい海岸線だ。

西伊豆はまさに坂との戦い・・波の数だけ坂があるのだ。


黒々とした駿河湾の対岸には街の明かりが輝き、こちらには深々と降り積もるような闇だけが支配している。

まるで一人、無人島に取り残されているかのような感慨にとらわれた。

俺はこの孤独感が大好きだった。



そうか、俺は一人になりたくて旅に出るのか。

って、いつも一人だけど。


変態の必殺技③:孤独に非常に強い。


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高足ガニなど深海料理で有名な、戸田の町を抜けるといよいよ、伊豆半島の旅も終りが近い。

ここから先は西海岸で最も険しく、富士山が美しいルートだ。


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うっすらと曙色に染まる空に、稜線の美しい気高い山の姿が浮かび上がった。

山がそのまま海に沈みこむ複雑な地形・・リアス式海岸に水墨画みたいな、霞のかかった富士山が映り込んでいる。


そんな幻想的な景色を眺めながらエアポンプで一生懸命、愛機のタイヤに空気を入れていた。


言うまでもないが、パンクしたのだ。


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沼津の港に到着した。


俺はいつものように、「丸天」で海鮮丼を食って最後の強敵との戦いに備える。


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その最後の敵とは・・やっぱり箱根だった。


(今回は二度も会いに来てくれるなんて、よっぽど私のことが好きなんだね?)


微笑みながら湖面を魅力的に揺らす芦ノ湖は、いつも俺の心を骨抜きにするような青い色をしている。


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今回の走行距離:約400km