秘湯!八丈島、みはらしの湯!!
10月31日
羽田空港を飛び立った飛行機が、2分もしないうちに高空へと舞い上がり安定飛行へと移行するはずだった。
だが、シートベルトを外してもよいという案内は一向にない。
「悪天候のため機体が揺れることがありますので、、シートベルトは締めたままでお願いします。」
チャイムが鳴り機内放送が流れ、私の顔は一気に恐怖の色に染まった。
飛行機が灰色のを雲を突き抜けて、白い奔流に飲まれていく。
小さな窓から見える主翼の先端が、まるで定規を振った時みたいにグニョングニョンにしなっている。
「いいさ・・俺にはもう思い残すことはない。だが、無事に生きて帰れたらその時は・・。」
飛行機は何事もなく、無事に八丈島の空港に着陸した。
約55分のフライトだったが、私にとっては決死のフライトだった。
さて・・行くか。
私は仕事を片付けるため、ハイビスカスの花や、フェニックスの木が雨にぬれる、まっすぐな道を歩いて行った。
仕事を終わらせて、私はタクシーを拾った。
「お客さん、景気がいいねぇ・・あの『みはらしの湯』までタクシーで行くなんて・・片道5000円もするのに。」
嬉しそうなタクシーの運ちゃんの言葉に、私も何だか気分が良くなったが1秒後、実は未曾有のピンチに瀕している事に気がついた。
(な、なにー!!往復1万だとぉー!!)
降ろしてもらおうかと思ったが、もう遅かった。
タクシーは島の急斜面をよじ登るような橋を渡り、小さな集落を過ぎてジャングルの中を突っ切っていくところだ。
「まあ、今日は時間ないし、次はいつ来れるかわからんし・・たまには贅沢もいいもんですわ。」
私は今にも発狂したい心情をひた隠し、気を大きく振る舞った。
八丈島、末吉温泉「みはらしの湯」に到着した。
タクシーの運ちゃんに待ってもらい、温泉の料金500円を払って中に入った。
温泉の泉質は黄土色をした、ナトリウム-塩化物強塩温泉
・・いや、それよりこの露天風呂から見える景色の素晴らしさが圧倒的だ。
海に一気に落ち込んでいく絶壁が屏風のように広がり、海が陽の光を浴びて鏡のように光り輝いている。晴れていれば、それはそれは美しい青色の海が眺められるそうである。
私は、こんなに景色のいい露天風呂に来たことがない!!
岩で作られた風呂は、ひょうたんみたいな形をしている・・そう、八丈島をかたどっているのだ。
しばらく一人でこの絶景の温泉を独占していると、私と同じくらいハゲたおっちゃんがやってきて、気さくに話しかけてきた。
「なあ、兄ちゃん!ここはいい温泉だろ?・・ところで、この八丈島には他にも混浴の温泉があるのを知ってるか?」
「ほう・・大変興味深い。詳しい話を伺いましょうか・・。」
私は思わず身を乗り出しておっちゃんから有益な情報を聞いた。
そろそろ帰りの時間なので、私は温泉を後にして、待たせているタクシーに乗り込んだ。
途中、日本むかし話でしか見たことがない、絹の機織りを見学し、大坂トンネルから景色を眺めて、空港に戻った。
青々と生い茂った八丈島の原生林を飛び越え、コバルトブルーに輝く海が見えたのも一瞬だった。
羽田へと飛び立った飛行機はぐんぐん高度を上げて、綿アメをちぎったような雲の浮かぶ高空へと舞い上がった。
行きとは打って変わって、好天の空の旅は快適そのものだ。
また来たいものだな。今度は愛機を持ってきて・・
小さな窓を眺めていると、広大な房総半島が眼下に見えてきた。
山々がひだのように折り重なり、その奥にまだ行ったことがない湖が青く光っている。
もう本土まで飛んできたのか・・それにしても、私の住む日本はなんて美しいんだろう。
こんなすばらしい郷土を、自由にロードレーサーで走り回っているなんて、私はなんて幸せなんだろう。
きっとこれからも、愛機で日本中を駆け回り続けるんだろう。
飛行機は大きく旋回し高度を落としながら、さまざまな船が浮かぶ東京湾の上を飛んでいた。なんだか、その船のひとつひとつに、旅の夢と希望が詰まっているような気がした。
今週のデブ専用ランチメニュー!!
門前仲町のとある居酒屋のランチメニュー!!
これを食うのは2回目だ・・私の体重がどうなったかは言うまでもない。