今年の紅葉は終了しました!! | クレイジートラベラー!!~ロードレーサーで行く変態旅行記~

今年の紅葉は終了しました!!

11月3日

夕飯の材料をママチャリのかごにブチ込んだおばはんが行きかい、激安の惣菜屋さんから香ばしい匂いが漂う、葛飾区亀有の商店街。

その一画では、道路を挟んでずらりと行列ができていて、かのオイルショック時のように世紀末的な光景が展開していた。


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道行く人がこの有様を横目に「何これ、ラッシュ時のバス停みたい。アホじゃね?」


と、蔑むような眼でこちらを眺め立ち去っていく。


バス停の行列ならまだいい・・これは、つけ麺屋の行列なのだ。しかもさっきから1ミリも動かないときた!


陽が沈み、肌寒い空気がじわりとしみ込んでくるようだ。

俺は自分のアホさ加減に心底呆れ、同行している我が妹を同情した。


すまない・・混んでるのは分かっていたが、一人で来ると超寂しいから・・

ついお前を引きずり込んでしまった。



だが、信じてくれ!このつけ麺「道」は美味いことで有名だ!

客の回転が猛烈に悪いことでも有名だが。


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行列を並んで1時間半・・


カウンターに座り、待望のつけ麺がやってきた。


薬味が別々の皿にのっていて、つけダレは濃厚すぎて何だかアツアツのホットミルクみたいに、表面に膜が張っている。

麺はつるりと真珠のような輝きを放ち、箸でつかむと驚くほどもちもちした弾力がある。さっそくいただいてみよう。


ほう・・こりゃ美味いわ。


麺が、今までのつけ麺の中ではダントツに美味い。


我々は大満足で店を出た。

妹を両国のアパートまで送ると、俺はそのままメガネの上官の店「デビル」へ向かった。

今日の朝、愛機で高尾山に向かっている途中、空き缶を踏んで後輪が大爆発し、チューブを補充しなくてはならないからだ。


店では今月から働くことになった、変態同盟のサムライの様子がどうもおかしかった。


なんだか眼が泳いでいるし・・どうしたというのだろう。


その時、俺は特に気にすることなく店を後にした。


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11月5日


イチョウの木々が、まるで燃え盛る黄色い松明のように色づいて、甲州街道を生き生きとした秋色に染め上げている。


高尾山はもう紅葉しているだろうか。


ピンク色のロードレーサーは、普段は気にもならない緩やかな上り坂を、今日は苦しそうに上っていく。どうもあまり体調がよろしくない。


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高尾山に到着したが、まだ紅葉していなかった。


今年は猛暑で疲れたし、紅葉やめようかな・・なんて山がぼやく声が聞こえてくるようだ。


なんか俺も疲れたよ。燃料タンクに穴があいて、どんどんエネルギーがこぼれていってる感じだ。

休憩しながらツイッターをやっていると、サムライも俺と同じ症状から始まって、ついに風邪をひいて今日は寝込んでいるらしい。


・・ということは!2日前にチューブを買いに行ったときに、奴はすでに風邪をひいていて、あの時にうつされたということだな!?



おのれ!サムライ~!!

来週のバトル「龍勢」では、地獄見せたるで~!!


俺は途中のリンガーハットで二倍増しのチャンポン+チャーハンを軽く平らげると、元気を取り戻して猛然と帰って行った。


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一方、その頃・・


ここは地下鉄が縦横無尽に走りまわる地下層のさらに深い最深部にある、とある秘密組織の指令室である。


身長がほぼ同じ・・160cm程度の男たち・・ホビット族が2人。


革張りの椅子に座って司令官デスクに収まり、なぜかタオルを首に巻いている男と、その部下と思われるひょろりとして敏捷そうな男が向き合っている。


上官と思われる男は、司令官デスクに両手を組んで顔をうずめ、表情を読み取ることは難しい。


「君を送り込んだ、例の店だが・・4人目の適合者との接触は出来たのかね?・・どうしたサムライ、報告したまえ。」


「サムライ」と呼ばれた男は、はっとなって直立不動の姿勢をとり、口を開いた。


「はっ・・!隊長のご指示通り『フォース・ホビット』との接触に成功しました・・。

拷問マシーンでの強化を施した暁には、我々・・高邁なる変態同盟の道へ導いてご覧にいれます。」


「隊長」と呼ばれた男は首に巻いたタオルの匂いを嗅ぎ、鋭い眼光をサムライに向けた。

「分かっているな?新たなるホビットは例の計画・・変態補完計画に必要不可欠なのだ。


・・ところで『ファースト・ホビット』はどうなっている?

奴は我々の鉄の掟を破り、一人で混浴に行った!!

裏切り者には死あるのみ!!」


激しい怒りと嫉妬をにじませる隊長の声に、サムライは恐れおののいたが、顔には一切出さない。


「はっ!奴には、空き缶に仕掛けたプラスチック爆弾ウイルス兵器を使用しましたが・・まったく通用しません。それどころか、私自身がウイルスに・・。」


隊長はサムライの言葉をさえぎり、威厳のある声でピシャリと言い放った。


「いいか、サムライ・・来週の『龍勢』で確実に奴を始末しろ・・!!」


サムライは40℃近い高熱で今にも卒倒しそうだったが、何とか答えた。


「・・はい。すべては隊長のシナリオ通りに。」


隊長はその言葉を待ちわびたように聞き、組んだ両手で隠した口元を歪めてニヤリと笑った。