先週、滋賀県の水口に野暮用があってその途中、
焼き物の町、信楽に昼食休憩で立ち寄った。
二回ほどは訪れてはいるものの、
信楽高原鐵道終点の信楽駅周辺は一度も、

 



この先の入り口の巨大な狸の置物が
オレンジのハロウィンの衣装を着せられていた。
若い人達が現を抜かすハロウィンに私は全く興味が無いが、
その人達に媚びるかのようなイベントの類、狸の置物にも。





その反対側の広場には陶器で造られたモニュメント。

 



その向かいに近江牛のノボリを掲げた和食レストラン。
しかし予約で満席、まだ腹は持ちそうなので駅周辺を散策。






金木犀が香りが強烈に漂うとある店頭では、
狸の置物はみんな揃ってすでにイッチャてる!



そんな先入観があって信楽には興味が無かったが、
自身が陶芸をやり出して初めて興味を持った。
そんな最後の趣味と思っていた陶芸も遠ざかっている。










元々信楽焼は登り窯による壺、甕、擂鉢、
その後、茶壺、土鍋、徳利などの日常雑器が大量生産されたが、

 

 

 

 


近年はどうしても狸の置物が信楽のシンボルとなり、
通り沿いの至る所の販売店で狸が占拠している。

 



私自身は昔ながらの壺、茶壺、土鍋、徳利を眺めてみたいと思っていた。











全国的に信楽が最近注目されたのは
やはりNHK連続テレビ小説『スカーレット』らしい。

 

 





その時期と同じくして信楽焼ミュージアムが移転リニューアルされ、
無料の館内では信楽焼の歴史が分かりやすく説明されていて、
周辺情報も得られ、トイレ、休憩場としても利用できるので助かる。

 



左手には懐かしい火鉢。
第二次世界大戦末期には金属不足から陶器製品の需要の高まり、
信楽の火鉢は全国シェアの80%を誇ったらしい。




とは言うものの、
通りの多くの店頭では狸の置物部隊が待ち構えている。
これでも極めて少ない方、
怖い位視線を感じてしまう、私だけ( ´艸`)。

 



なんで狸の置物が信楽の顔になったかと調べると、
1951年11月に昭和天皇が信楽を行幸された際、
沿道に旗をもった陶製狸を並べてお迎えした事を、
陛下が大変お気に召され、

「をさなどき あつめしからになつかしも 信楽焼の狸をみれば」

詠われた歌がマスコミ報道されたのをきっかけに、
信楽狸が全国的に大流行する事になったらしい。恐れ入りました( ´艸`)。

 





駅前通りを真っすぐ進むとドンツキに新宮神社、
鈴なりに小さなカキが実っていた。











やはり狛犬は信楽焼の陶器製。











境内の片隅に真っ赤に染まった樹々を確認。











説明によると近くにのぼり窯カフェがあると聞いてきたが、
すでにお腹はマイナス八分目、新しい食事処は諦めて、
以前伺った蕎麦の名店黒田園を目指す、





以前は一時間ほど待ったが、
今回はその半分くらいで済みそうだった。

 



黒田園は蕎麦以外に朝宮茶も販売している。





信楽は全国的に焼き物は知られているが、
805年に最澄が茶を唐から持ち帰り、朝宮の岩谷山に植え、
815年に朝廷に献上する為に始まったと言われており、
日本最古の茶の産地でもある。

 


その朝宮茶の名店山本園が運営する喫茶WITH TEAが目の前。

 

 

 

 

 

 


そうこうしていると名前が呼び出され入店。

 


古民家を利用して営業なさっているが、
創業はそれ程古くないと思われる。





国産のそば粉を使用した九割そばは至ってのど越しが良い。
天ぷらの揚げ具合もちょうど良い。

 



京都はあまり私好みの蕎麦屋が無い。
それでも30年ほど前に一軒だけ気に入り通っていたが、
突然店を閉められ、それ以降京都の蕎麦屋で殆ど食べる事が無い。
夏場などは自宅でお気に入りの乾麺を湯がいてざるで頂く位。
信楽焼の器で古民家の囲炉裏で食べる蕎麦はやはり格別だ。