数日前に少し気温が下がり、ようやく重い腰を上げて、
従来の撮影生活に戻れるかと思っていたがあにはからん、
当面は35℃前後を推移、今月末も残暑きつそう!
連日の猛暑の為、この数回、NHKのDVDにお世話になっているが、
今回は朝日放送版2017.4刊「京之御所離宮」(5)の修学院離宮。
修学院離宮は京都市左京区修学院の比叡山麓、
17世紀中頃に後水尾上皇の指示で造営された別邸である。
下から下御茶屋(しものおちゃや)、中御茶屋(なかのおちゃや)、
上御茶屋(かみのおちゃや)と呼ぶ習わしだが、
下離宮、中離宮、上離宮と呼ぶ場合もあるらしい。
雄大な景観を楽しむ事ができる為「帝王の庭園」の異名もあった。
下御茶屋の御幸門は立派な表門とは違い、
南禅寺横の御屋敷通りみたいな閑静な佇まいだ。
柿葺の御幸門には花菱紋の透かし彫りが施してある。
下離宮は離宮内でもっとも低い位置にあり、規模も小さい。
中門を抜けると寿月観の御輿寄。
このDVDには四季を織り交ぜて紹介されているが、
紅葉の時期が最も艶やかに感じられる。
私も6年前に一度訪れているが、
一般拝観では見る事の出来ないのが、
こう言った映像作品の魅力だ。
それと制約された時間と行動範囲では見過ごしてしまう、
珍しい造作、これはその一つ袖型灯籠。
こちらは朝鮮灯籠。
所々で見かける腰かけ用の立石?
比叡山麓、
音羽川の扇状丘陵地の傾斜を巧みに利用した庭園には、
人工の滝と渓流なども造られている。
一時、コロナ禍の時期は拝観は比較的スムーズだったと聞くが、
今現在は地元民でも桂離宮、京都仙洞御所、修学院離宮は難しく、
更にこの紅葉期は至難の業になっているのでは?
前回は桂離宮の紹介でひつこめに観月について述べたが、
方角的には対角線上に位置する修学院は月見に適していないと思うが、
この高台からは月見が出来たのだろう。
一の間縁側壁に掛る扁額「寿月観」は、後水尾上皇筆による。
建物は現在、寿月観のみ建つが、
かつて蔵之庵、彎曲閣、その他の施設があった。
華美な装飾は無いが、
違棚上の天袋に金泥の飛翔する丹頂鶴、
下段地袋に白い蘭と岩の絵は原在中筆による。
襖絵は岸駒筆の水墨画「虎渓三笑図」4面。
その上の欄間に上皇が好んだ花菱模様の透し彫りがある。
ひと際目立つのは、杉戸の黄金の菊の引手。
今年の紅葉は鮮やかになるだろうか?
障子超しの紅葉を上皇はご覧になられたのだろうか?