3月11日~16日まで東山の泉涌寺で涅槃会が行われていた。
この時期、日本最大級の涅槃図が堂内に掲げられるので、
初日の11日に伺ってきた。
皇室の菩提寺として日本で唯一「御寺」と呼ばれる、
泉涌寺の伽藍は変わっている。
一般的に寺社の拝殿、本堂は参拝者の眼上、
参道を登り詰めた坂や山の上に設けられるものだが、
大門の坂下にすり鉢状の底に配される伽藍は極めて珍しく、
「降り参道」と呼ばれるもので、
如何にも「御寺」ふさわしく、厳かである。
残念ながら涅槃図は撮影は出来ないが、
もとは奈良・東大寺の大仏殿に掲げる為に描かれ、
縦16m×横8mと、泉涌寺の仏殿には大きすぎて、
天井から地面にかけて「コ」の字型に折り曲げ掲げられいた。
泉涌寺のホームページより
その結果お釈迦さまの命日の満月は確認出来るが、
下部に描かれたお釈迦さまを偲んで集まった多くの動物は、
畳まれた状態で観る事は出来ない。
これまで真如堂の極彩色の涅槃図、
本法寺の長谷川等伯が描いた涅槃図は拝見しているが、
遥かに凌ぐ大きさだ。
仏殿の背後には舎利殿。
何故か花が生けられ、
歴代皇族への献花がその始まりの月輪未生流。
その背後には皇族の参拝時における休憩所の
御座所が設けられていて、紅葉時期等に特別公開され、
行き届いた枯山水庭園が拝観できる。
御座所の南には霊明殿。
天智天皇と光仁天皇から昭和天皇に至る歴代天皇皇后の尊牌を安置。
1882年に焼失し、現在の霊明殿は1884年に明治天皇の勅命により再建。
更にその南側の参道を進むと、
月輪陵・後月輪陵。
四条天皇を始めとして14人の天皇を含む25陵、
5人の天皇の灰塚、9人の皇族の墓が営まれる。
この時期、先ほど紹介した涅槃図が一斉に公開されている。
お隣の東福寺では珍しい猫入り涅槃図、
西陣の本法寺は等伯が描いた涅槃図には外国産のコリー犬、
描かれている動物が日本最多を数える真如堂の極彩色の涅槃図。
それぞれ公開期間が違うようなので要確認。
やはり心残りは今回確認できなかった、
泉涌寺の涅槃図の下部に描かれたお釈迦様を偲ぶ動物たち。