昨年末から若い時のようによく映画を観るようになった。
と言っても映画館に行くでも無く、最新の映画でも無く、
ツタヤディスカスの月4本定額レンタル、
主に1950年から1990年位の傑作、では無く駄作?



今回の映画は『クライ・ベイビー』。
ジョニー・デップの初主演作の1990年製作映画。
と言っても特別ジョニー・デップのファンでは無い。
ジョン・ウォーターズ監督の作品だから借りてみた。








ジョン・ウォーターズ監督と言えば、
二十世紀最低でお下劣な映画を作った作家で、
カルト的な作品の数々を世に送り出した人物だ。
精力的にアンダーグラウンドで活躍していたのは1980年までなので
『クライ・ベイビー』はメジャーデビュー作品となり、
ジョニー・デップの初主演作ならば、それなりに重要な作品。
内容は学園ものでそれも恋愛物語だが、
そこはお下劣の巨匠は独特な表現を用いている。
ジョニー・デップ一家はやはりフリークス的、
おじさん役で伝説のNYパンクの
イギー・ポップが演じているのが頷ける。


やはりJ・ウォーターズと言えば『ピンク・フラミンゴ』。
巨漢のドラァグ・クイーンのディヴァインを世に送り出した、
1972年制作の地上で最も最低、破廉恥、エロ・グロ・ナンセンス。
内容は「世界で一番下品な人間」の座を争う、
あまりにもお下劣すぎるので割愛( ´艸`)。

 



ドラァグ・クイーンは今では日本でも認知され、
色んな方面で活躍されてもいる。

男性の同性愛者が性的指向の違いを超える為の手段として、
ドレスやハイヒールなどの派手な衣裳を身に纏い厚化粧、
攻撃的な言動、大げさな振る舞い、
その延長線上にクラブでパフォーマンスを行い、
エンターテイメント化したのが現在のドラァグ・クイーンで、
日本のマーガレット、ブルボンヌ、ナジャ・グランディーバで、
今やテレビに欠かす事が出来ない絶対的なマツコ・デラックスも
一時クラブの舞台でパフォーマンスをやっていたらしい。

 



よくよく考えてみると日本の美輪明宏は
アメリカのドラァグ・クイーン誕生のずーっと以前に16歳で舞台に立ち、
艶麗な容貌でシャンソンを歌い上げ、労働者の歌「ヨイトマケの唄」は
日本のシンガーソングライターの先駆け、
ユニセックスファッションも先駆け、
「おかま」では無く「シスターボーイ」の名前を浸透させ、
いつも間にやら女装の出で立ちでパフォーマンス、
この時代に同性愛の公表は世間からは犯罪者扱いだったが、
何にも臆せず屈せず、歌手、俳優、演出家、声優の数々の偉業は異次元、
来るべきドラァグ・クイーンの鏡だったとつくづく思う。
今では生き仏、弥勒菩薩、観音菩薩の生まれ変わりとして、
物心共々、神々しく黄金に輝いておられる、アリガタイ限り!

京都でも1990年頃、
川端丸太町のクラブ「メトロ」で「ダイヤモンドナイト」なる
ドラァグクイーン・パーティーが故ミス・グロリアス、
シモーヌ深草を中心に催されていた。
ミス・グロリアスは本名は古橋悌二。
京都市立芸術大学の学生を中心に結成された、
前衛アーティスト集団・ダムタイプの首謀者で
1992年にゲイである事とHIVキャリアである事を公表し、
ジェンダー、セクシュアリティ、国籍、人種をテーマとした
メディア・パフォーマンス作品「S/N」を発信し続けたが、
1995年、35歳の若さで亡くなられている。


日本のドラァグ・クイーンに多大なる影響を与えたのは、
やはりこのディヴァインの存在は大きかったし、
迫力と身のこなし、下劣のファッションと色彩感覚、
異次元のメイク術、そしてこの人を象徴する赤いドレスと金髪。
"赤と金"は私にとっては最低、醜悪の組み合わせで、彼女そのもの。

 



テレビはほとんど見ないが、お笑いは大好きなので一言。
お笑い芸人でカズレーザーと言う方がおられる。
注目を浴びたのは安藤なつと組んでいたメイプル超合金。
巨漢の安藤なつとトレードマークの赤い服に金髪のカズレーザー。
笑いの醍醐味とは、非常識と常識のギリギリの狭間、
時には殺人鬼の様な眼差しで、
どれだけ愚かな行為が人間社会をダメにしているか、
社会の滑稽さ、矛盾、人間性の矛盾も可笑しく炙り出し、
それでも根底には天使の様な愛情をを持って聴衆を優しく包み込む、
社会的には危ないが、どこか人間としては憎めない、
かなり乱暴だがそれが個人的な理想のお笑い芸人、魅力。

メイプル超合金結成当時は喋り、風体、ファッション共に
その危なさが魅力の一つだったが、
カズレーザーは高学歴で読書家、豊富な知識力でクイズ番組、
持ち前の機転の良さで司会、CMと正統派のタレントとして地盤を固め、
一方安藤なつと言えば、プロレスラー、介護士、一般男性との結婚、破局、
暇な時はハーレーダビッドソンを乗り回し、危ない一面は今でも健在。
勿論、私がカズレーザーさんに注文できる立場では無いのは重々承知だが、
どうかディヴァインのトレードマークの"赤と金"の組み合わせだけは
止めて頂けないでしょうか?既に芸能界では安定したメジャーな存在、
多くの聴衆が認める常識的な色の組み合わせの方がもっと支持が得られる筈。
しかし、彼は同志社大学時代から"赤と金"の組み合わせをしていて、
ひょとして私以上にディヴァインの信奉者かもしれない。
それならば後にどんでん返しがあるかもしれない( ´艸`)



又、横道に逸れた話ばかりしている。
映画に話を戻して、同時期に借りた「ディヴァインB.B.」

 


アメリカのセックス・シンボルはマリリン・モンロー、
ヨーロッパ、フランスのセックス・シンボルは、
やはりB.B.事、ブリジット・バルドー、和製B.B.は加賀まりこ。
マリリン・モンローと共にひと世代上の女優なので、
作品はほとんど観ていないが、
人気絶頂期にフランスのテレビ歌番組の編集もの。
全編モード系雑誌のファッションと魅力的な声。
歌もかなりうまいが、何と言ってもボンキュッパなセクシーボディ。

 

 

これが完璧なパーフェクトボディー!

 

 

 




も一つは1968年公開のSFエロティック映画『バーバレラ』。

 


ここに登場する女宇宙士のバーバレラはジェーン・フォンダ。
この方もブリジット・バルドーに引けを取らない程グラマラス。

 


ボンキュッパにボンテージ風の宇宙服はエロチック、
テッシュ、テッシュ、鼻血が出る~、俺は谷岡ヤスジか( ´艸`)。

監督のロジェ・ヴァディムは女たらし、上品に言えばプレイボーイ。
雑誌のモデルをしていた18歳のブリジット・バルドーと結婚。
22歳の妻バルドーを主演に『素直な悪女』で映画監督としてデビュー。
バルドーを一躍セックス・シンボルとしてスターダムにのせるが5年後に離婚。
その後モデルだった女性と結婚し映画に出演させているが2年で離婚。
その直後カトリーヌ・ドヌーヴと交際して、
彼女主演の『悪徳の栄え』を製作・演出するが結婚はしなかった。
1965年にはジェーン・フォンダと結婚し今回の『バーバレラ』などの、
フォンダ主演作品を監督するが1973年に離婚。
その後も何人かと結婚、離婚を繰り返している。

フランスでベスト・セラーとなったSFエロコミックの
映画化なので大層な内容は無い、
宇宙の支配を目論むデュラン・デュランから
女宇宙士のバーバレラが地球、宇宙を守るドタバタ劇。
手のひらと手のひらを合せて行なう宇宙時代のセックス、
古典的なセックス、悪党が発明したセックス・マシン等、

 


エロシーンはあるが、日本の劇画のようなやらしさは無く、
明るくあっけらかん、何と言ってもジェーン・フォンダの父は
大ハリウッドスターのヘンリー・フォンダ、
弟はアメリカン・ニューシネマの代表作『イージー・ライダー』の
ピーター・フォンダ、そんな映画界のサラブレットが
オープニング・タイトルから宇宙服から無重力ストリップショー、

 


大胆にも一糸纏わぬ美しい裸体を披露。






若い時にどうしてもこの映画を観たかったのは、
バーバレラが身に纏うフェティシズムな宇宙服。

 


この時代の映画では珍しく衣装専門デザイナーを起用。

 

 

 

 

 

 

 


 

当時最もセンセーショナルなデザイナーのパコ・ラバンヌ。

 

 

 

 

 

 

 


ボンテージ感もある8種類の刺激的なコスチューム。





それと大掛かりなアメリカのSF映画では考えられない
幼稚さはあるが、絵画的に創り上げられた宇宙空間、



当然CG的な処理が出来ない表現でのキッチュ感、
内容はどうでもよいが、フェティッシュ、ボンテージ感溢れる、
忘れ去られようとしている最高のエロチックSF映画。

 

 

 

 





新しい映画も少しは興味があるが、
観たい過去の作品が多すぎて当面はプレイバック、
良き時代の日本映画名作の発掘作業もオモシロそう、
先ずは美人の若尾文子、京マチ子、岡田茉莉子の作品から。。。