酷暑が続く京都市内。
無事に三年ぶりに祇園祭が無事行われたみたいだが、
新型コロナの変異株の急拡大が気になる。

 



京都ではこの暑い時期に珍しい展覧会が行われている。
ひとつはデヴィッド・ボウイの写真展。
写真家・鋤田正義が80年代京都で過ごした、
大の親日家であるボウイを捉えた写真展。


デヴィッド・ボウイは二十歳の時、
グラムロックに興味を持ちだした頃
名盤「ジギー・スターダスト」に心酔し、一時期完璧にハマった。
しかしボウイの貪欲で旺盛な音楽活動は74年代から
アメリカに拠点を移す事により多くの支持を集める事になるが、
この時点では客観的にボウイを観察し、音楽も聴かなくなった。

 


80年代に入り個人的には火の車の制作事務所を営んでいた中、
事務所スッタフがボウイを三条通りで見かけた、
古川町商店街で買い物をしていたとか、
挙句の果て、蹴上の邸宅に住み始めたとも噂も流れ、
3年間心酔していたボウイと近い空間にいる事に、
心なしかソワソワしていた。
しかしグラムロック時代の3年間以降の作品には、
あまり興味が無かった、と言うより全く。
一般的にはそちらの方が認知されているのだが、
展覧会は美術館「えき」KYOTOで7月24日(日)まで。


もう一つはブライアン・イーノの展覧会。

70年代「ロキシー・ミュージック」の元メンバー。
ロック界においては進歩的、革新的な音楽を発表し続けて、
プログレッシブ・ロックと思いきや、
本人自身は「ノン・ミュージシャン」と呼び、
アンビエント・ミュージックを開拓した第一人者として知られている。
世界で最も多く聞かれたサウンド、Windows95の起動音の制作者。
アンビエント・ミュージックは環境音楽と一般解釈されるが、
グラムロックと同様、その定義は極めて曖昧である。

プログレッシブ・ロックの代表的バンド、
キング・クリムゾンのロバート・フリップとのユニット
「フリップ&イーノ」組むなど、前衛的で現代音楽、
ニューエイジ的な作風を採用するようになる。
後の『アナザー・グリーン・ワールド』、
1980年代にはデヴィッド・ボウイ、トーキング・ヘッズ、U2等の
アルバムにもプロデュースや演奏などで参加する等、
世界が認める音楽プロデューサーである。

しかしながら1978年に発表される、
『アンビエント1/ミュージック・フォー・エアポーツ』までは、
ブライアン・イーノが発表する音源には全く興味が無く、
初めてこのレコードを手に入れて聴いて、凄さが分かった。

 


文字通りの意味で「空港のための音楽」で、
空港という場所とその機能のために音楽を作曲し、
実際にニューヨークのラガーディア空港で使用されていたらしい。

 

Brian Eno - Ambient 1: Music for Airports [Full Album]


プログレのような仰々しさ威圧感も無く、
前衛音楽の様な突拍子さもノイジーさも無く、
悠然と環境を漂う、極楽浄土のような、
一つ気になるのは生命活動が感じられない?
いずれにせよ、全く新しい音楽、
パンク、ニューウェーブに行き詰まり感じていた時期に、
今まで感じた事の無い音楽領域、不確定な旋律、新たなる飛躍、
続いての二作、三作に期待を勝手に膨らませていた。

しかし1980年『アンビエント2/ザ・プラトウ・オブ・ミラー』、
1980年『アンビエント3/発光』、1982『アンビエント4/オン・ランド』
まだかまだかと首を長くして二年以上も待っていたものの、
残念ながら期待していたものと大きく違っていた。


この数年はなるだけお金をかけず、
有意義な時間を過ごす事に心掛けている。
その一つに昔よく聴いていた音源を買い集めている。

何故?二十歳代から三十五歳まで聴いていたレコードは、
書籍と共に断捨離、では無く、30回に及ぶ引っ越しにより処分、
ともかく引っ越しで一番負担になるのが重たい本とレコード。
それもあるが、仕事は出来るだけ好きな事しか
やりたくなかった生活はどんどん困窮状態。
そこそこ高い本も多く所有していたので、
その都度現金に換えて足しにしていた。
結局45歳位になると、全ての本とレコードは手元になかった。
典型的な引っ越し貧乏の境地ある( ´艸`)。


最近になってようやくボツボツではあるが、
昔愛聴していたレコードをCD盤で買い求めている。
デジタル音源の手もあるが、実際ブックオフ等を利用した場合、
一曲当たり十分の一程度に収まるケースが多いのと、
小さくはあるが、何と言ってもアルバムジャケットを手に出来るのが、
より一層、昔の感動が得られそうで満足している。


ブライアン・イーノの展覧会が始まったのが6月3日。
何故かその少し前に『アンビエント1』をブックオフで購入。
一緒にエリック・サティ作品集も買った。
イーノの『アンビエント1』が発表される前、
一部の知識人、文化人の間で注目されていたエリック・サティ。
1866年生まれのフランスのピアニストで異端の作曲家。

『グノシエンヌ』、『ジムノペディ』、『ジュ・トゥ・ヴ』等が、
テレビCMやカフェ・レストランなどのBGMとして使われるなどして、
サティ・ブームを巻き起こし、所謂環境音楽として認知され出した。

 

Erik Satie - Gnossiennes 1-6


このブームは日本独自のものだったかは分からないが、
イーノはサティの「音楽は集中して傾聴されるべき芸術作品ではなく、
家具のように生活と供にあるべきもの」という考えに影響を受け、
「環境を包み込む音楽」という意味を込めて、
「アンビエント・ミュージック」を手掛けたらしい。
果たして『アンビエント2』、『アンビエント3』、『アンビエント4』
に貫けているかは疑問だ。これらの音源は手に入れるつもりはない。



イーノの『アンビエント1』はCDでは珍しく紙のパッケージである。
44年ぶりの再会喜ぶものの、昔感じた未来の期待感は今は無いが、
幼稚な前衛音楽を通り越した、唯一無二の音域が確かに存在する。
共にエリック・サティも。


あれだけ心酔していたボウイの展覧会は行かない事にしている。
私の好きだったグラムロックの3年間は、
ロンドン時代のボウイで、ニューヨークでも京都でもない。
もしこれが「ジギー・スターダスト」ジャケ写に出てくる、
ロンドンの場末の飲み屋など、ボウイが活動した
その周辺を舞台にした写真展なら飛んでいくのだが( ´艸`)、


ブライアン・イーノの展覧会も行かない事にしている。
もしアンビエント、環境音楽についての催しだったら行きたかったが、
今回の展覧会のキャッチフレーズは「ヴィジュアル・アートに
革命をもたらしたブライアン・イーノによる音と光の展覧会。」
ヴィジュアル・アート、音と光の展覧会は
80年代に新しいアートムーブメントで注目されていたが、
実際これらを装った展覧会を経験した事があったが、
いつも納得のいかない、モヤモヤ感が残る感じがした。
わざわざそれを感じる為に時間とお金を使いたくない。
ドケチ!基本的に世間で言われる文化人でもない。
今は限られた生活資金、限られた時間、
まだやり残した事があると思っているので、
いつも今何をやるべきかを考えて行動している。

でも、ヴィジュアル・アートをもっと知りたい方にはお薦め!
更に、『アンビエント1/ミュージック・フォー・エアポーツ』は、
70~80年代の音楽シーンの変遷を知りたい方にはもっとお薦め!

 



場所:京都中央信用金庫 旧厚生センター
日程:2022年6月3日(金)~8月21日(日)11:00~21:00


ようやく10年ほどで100枚ほど買い戻す事が出来たが、
名盤「ジギー・スターダスト」はまだ手に入れていない。
あと400枚、この分だと110歳、天海の歳ほどになる。
果たして生きているやら、

地獄にも行けず三途の川を彷徨っているやら( ´艸`)。