双子の京都タワー。2019.9.12


高齢になると変化を避ける傾向にあるらしい。
そう言えば朝食のメニューがほぼ変化がない。
オリーブオイルを塗ったホテルの食パンをトーストして、
ミルク、ゆで卵、バナナ、食後のコーヒー。
数年前まではトーストでもツナ、チーズ等でアレンジ。
気分転換でサンドイッチ、クロワッサン、総菜パン、
又、野菜サラダなども付けていたが、
今ではほとんど変わらないこのメニューを通している。
これは年を取ると考えるのが面倒くさくなるらしい。
いわゆる老化が進行している事になるらしい。

これはこれに止まらず、
寝る前に必ず音楽を聴きながら寝落ちするCDが、
半年前の夏初めにお気に入りになったハワイアン。
それはサンディーの「ウクレレ・ドリーミング」。

 


純粋なハワイアンでは無く、
60~70年代のポップスのハワイアンアレンジ。
サンディーの独特のアレンジが心地よく、
雪が積もるこの時期まで聴き続けてしまった。
ともかくこのCDはこの時色々物色したが、
ハワイアンアレンジの名盤。
言うなれば強力な睡眠薬を飲んだように、
曲を流して5秒から数分で寝落ちする( ´艸`)。

しかし、やはりここにも老化が現れていて、
CDはいとも簡単に変えられるのに、やはり面倒くささが優先。
考える事を止める事から認知症も始まるらしいから、
これはいかんと思い、早速手持ちのCDを変更しようとしたが、
どうせなら新鮮味のある曲が良いと思い、少し前に聴いた
宇多田ヒカルの『Fantôme』。ブックオフで650円、安い!
1500円以上だと送料が無料になるので他2点も購入。


この年になって今更、宇多田ヒカルと思われるだろう。
デビューは20年ほど前、確か椎名林檎と同じ頃。
私は日本の男性ミュージシャンのLP、CDは
細野晴臣関係しか手に入れた事が無いが、
偏っているが女性ミュージシャン、ボーカリストは
人並み以上好きで、ジャンル関係なくLP、CDを聴いていた。
海外のアーテストは男女こだわりなく聴いているのだが。。。

ともかく日本のアーテストについては女尊男卑( ´艸`)
美空ひばりに始まり、島倉千代子、松尾和子、ザ・ピーナッツ、
青江三奈、都はるみ、八代亜紀、山口百恵、森田童子、浅川マキ
学生運動とフォークは無視して90年代はCHARAに心酔。
そして90年代後半は椎名林檎にやられてしまった。
「幸福論」「ここでキスして。」「歌舞伎町の女王」「ギブス」。
もちろん宇多田ヒカルが同時期鮮烈にデビューし、
ヒット曲を出しているのは知っていたが、全く興味が無かった。
同じく母親である藤圭子も鮮烈にデビューし、
「新宿の女」「女のブルース」「圭子の夢は夜ひらく」
当時の演歌歌謡の歴史を塗り変えた事も知っていたが、
全く興味が無く、作家の五木寛之が藤圭子の歌は『演歌』でも、
『艶歌』でもなく、間違いなく『怨歌』だと評したらしいが、
クールな表情から絞り出される恨み節は余りにも凄まじく、
日本男性に高い支持を得ていたのは確かだったが、
藤圭子とは同じ年でも、個人的には拒絶反応を起こしていた。


宇多田ヒカルは元々は両親との三人ユニットが予定されていた。
これは藤圭子がアメリカでデビューする為のモノだったが失敗。
宇多田ヒカルの「Automatic」が大ブレイクしたのは、
偶然が重なり合った事も否定できないが、
宇多田ヒカルの持前の作詞作曲力、センス、
それと藤圭子遺伝の歌唱力が大きかったと思う。


もちろん彼女のNY仕込みのR&B、ヒップホップの乗りは、
日本人アーティストでは表現なしえない凄いモノにも見えるが、
やはりビヨンセに共鳴している者には、頼りない感じがした。


だからラジオで流れてくる分には心地良いが、
CDまで買って聴こうとまでは思わなかった。

それが『Fantôme』の一曲目の「道」。
某飲料メーカーのCMソングに使われた曲だ。
これはハッキリして私の宇多田ヒカルのデビュー曲。

アメリカナイズされたR&B、ヒップホップ、ポップスでは無い、
彼女のオリジナルのリズム、テンポ、吐息、ボイス、メロディー。
それまでの機械的な打ち込み主体でなく、
大自然の鼓動まで感じられる。


2010年~「人間活動」と称した活動休止。
2013年には母、藤圭子が高層マンションから飛び降り自殺。
2016年活動再開。

『Fantôme』は復帰後初のアルバム。
オリジナル・アルバムとしては8年半ぶりのリリース。
深くは知らないが、どん底からの復活、新しい挑戦、
意欲的な作品に仕上がっていると思う。

 

 

ジャケット写真はモノクロでノーメイク。
どこか母、藤圭子を彷彿させる。


1.道
2.俺の彼女
3.花束を君に
4.二時間だけのバカンス
5.人魚
6.ともだち
7.真夏の通り雨
8.荒野の狼
9.忘却
10.人生最高の日
11.桜流し


曲名が全てが日本語は初めての試みで、
どれも新鮮で宇多田ヒカルが生き生きとしている。

「道」のPVは宣伝の関係上なのか?
最適な映像が無いので「花束を君に」。

 

 



現在は音楽源をネットで入手する方法が浸透しているが、
私は未だにCDで購入一辺倒。
もちろん音楽配信サービスは1998年頃から知っていて、
好きな音源だけを単品買いする事により、
効率的、かつ経済的に購入できるのは分かるが、
好きな音源だけを流すのは、
好きな食べ物を食べ続けるのと同じような気がして、
そんな行為をやろうと思った事が無い。

 



この様に日本のCDは輸入盤と違い丁寧に作られているので、
小冊子、写真、歌詞、エディトリアルデザインも楽しめるので、
時代に逆行しようが音源はCD購入に決めている。

レーベル移籍後アルバム『初恋』が発表されているが、
又、某飲料メーカーのCM曲「大空で抱きしめて」が良い。
こちらもCD交換が面倒くさくなる前に購入したい( ´艸`)