今週末は今季一番の冷え込みになるらしい。
日本海側は降雪予報も出ているものの、
京都市内ではその可能性は低い。
紅葉が終わってしまって、
撮る素材がメッキリ無くなる中、
雪でも降ってくれればと、心なしか思う。

先月の紅葉狩りで滋賀県の二箇寺を巡っている。
最初は明智光秀ゆかりの西教寺も行くつもりだったが、
この時期滋賀のお寺ではライトアップをやるようになって、
その演出か、境内にやたら無駄なモノが配置され、
せっかく昔の遺構がその為に台無しになる事もある。
この西教寺も小堀遠州の客殿庭園を備えているので、
是非拝見したいと思っていたが、次回に持ち越し。
しかし甲賀市水口町の大池寺の“蓬莱庭園”は、
数多く残す小堀遠州作の庭園の中でも、
岡山県の国指定名勝“頼久寺庭園”にも勝るとも劣らない、
サツキの大刈り込み鑑賞式枯山水庭園として名を馳せている。



この山門右には回遊式琵琶湖庭園と左には枯山水の心池庭。
どちらも比較的新しい作庭と思われる。










受付を済ませて最初に目にするのは刈り込みが際立った枯山水。
こちらは山門の庭園よりは古いが、詳しい事は分からない。











本堂に繋がる回廊の中庭。








こちらも遠州の刈り込みを意識して作庭されているのだろう。

 


ともかく小さなお寺だが所狭しと庭園が造作されている。







そしてこちらが書院正面の小堀遠州作の“蓬莱庭園”。

 



1634年まで水口城の作事奉行として携わっていた小堀遠州が
城の完成を祝して作庭したものと伝わる。






2段大刈込みは海の大波小波を表し、
真っ白い砂の上に宝船を浮かべた姿を現し、

 


植木の刈り込みだけで絵画的な表現をしているのは珍しい。

 

 



小堀遠州は二条城「二の丸庭園」、南禅寺「方丈庭園」、
高台寺など、日本庭園の象徴的な作品が多いのだが、
このように一見、西洋式とも思える刈り込み式の庭園は、
西洋の最新の絵画、建築、庭園の貴重な資料に接する事が出来る
要職にあった小堀遠州ならではの斬新な手法と思われる。



幾何学的な小さな刈り込みで七宝と七福神を象徴。
まるでシザーハンズが刈り込んだように( ´艸`)。






縁先右側には刈り込みによる亀島、
中央には礼拝石が配されている。




こんな作品を江戸初期に造るとは!





しかし小堀遠州が最も西洋式庭園を試みたのは、
仙洞御所の後水尾天皇の為に造られた庭園と言われている。

そこには花壇、噴水のようなモノなど、

その当時としては考えられない前衛的過ぎる内容だった。
現在存在する王朝風庭園は初期の庭園から大きく改造されていて、
ほんの僅か遺構を残すのみで、まさしく幻の庭園である。



今回は造形感を撮影したかったのでこの時期を選んだが、
5月下旬から6月中旬にかけてはサツキが咲き誇るので、
華やかな彩の庭園を楽しむならその時分が良い。









帰りがけにも思いがけないところで庭園と遭遇。
書院後方茶室の前庭は築山枯山水にて蓬莱山と称し、
それ以上の事は詳しくは分からない。