既に10月に入って秋の気配になってもよさそうだが、
このところの京都はまだ夏日を思わす日々が続いている。
数日前に訪れた宇治平等院の浄土式庭園の拝見の時も。。。


前回、宇治の複雑な道が私がこの地に赴かなかった一因と述べたが、
その事もありこの日は出来れば数ヶ所廻る算段だった。

 



その一つが宇治上神社。












世界遺産「古都京都の文化財」の構成の1つとして登録されているが、
宇治へ道は迷路なので数ヵ月前まで足を運ぶ事は無いと思っていた。












ところが最近勉強中の桂離宮の成立、
それに伴う源氏物語の関りを色んな方面から探っていると、
この宇治上神社が登場する。










もちろん源氏物語に直接出てくるのでは無く、
国宝『源氏物語絵巻』の平成復元模写プロジェクトで、
復元担当の日本画家の林功氏の急死を受け、
その弟子にあたる宮崎いず美氏、馬場弥生氏の両名が、
第四十九帖宿木第三段のを復元模写受け持つ事になり、
当時の寝殿造の面影を残す宇治上神社にやってきて、
事細かく造作を調べたり、スケッチをしている姿を映像DVDを見て、
私も是非ともこの目で確かめ見たいと思っていた。





ここ神社の魅力は平安時代後期の造営の本殿と
鎌倉時代前期の造営の拝殿、共に国宝指定されている。












特に寝殿造の遺構といわれる拝殿は、
切妻造、檜皮葺き、桁行6間、梁間3間の主要部の左右に各1間の庇を付す。












周囲に榑縁(くれえん)と高欄を巡らし、内部は板床と天井を張り、
蔀戸を多用した住宅風の構えである。












京都御所で見受けられるがっしりとした造りでは無く、
それはまるで洛外に住む貴族の瀟洒な寝殿造りを思わす。











こちらが徳川美術館所蔵の国宝『源氏物語絵巻』の第四十九帖宿木第三段








そしてこちらが宿木第三段復元模写 琵琶を奏でる匂宮と耳を傾ける中君



この画像も上記の画像も徳川美術館のホームページよりお借りしたが、
実際はこの画面左には萩や藤袴、ススキなど、秋草が描かれていて、
原画では確認できないススキが最新のデジタル技術により、
輪郭が浮かび上がり、想像を遙かに超える繊細な色彩が甦っている。
残念ながら全体の復元画像はネット上では確認できないので、
興味を持たれた方は徳川美術館でご覧ください。
この秋の草花の復元は最新デジタル技術と両名の研究熱心の賜物。



拝殿の真後ろ、階段の上、
平安時代後期造営の本殿が建立されている。



祭神は本殿左殿(向かって右)に菟道稚郎子(うじのわきのいらつこ)、
中殿にその父の第15代・応神天皇(おうじんてんのう)、
右殿に兄の第16代・仁徳天皇(にんとくてんのう)が祀られている。











拝殿、境内後方には仏徳山の深い森が広がっていた。
この先の三室戸寺では昭和の小堀遠州と謳われる
中根金作の庭園も拝見したかったが、
夏を思わす陽射しは容赦なく私の頭に降り注ぎ、
些か朦朧としてきたので潔く諦め、
早々に蛇の道を抜け出し、碁盤目のあばら家に戻る事にした( ´艸`)。
三室戸寺の庭園は季節の軽やかな時に再挑戦。