台風22号が去ってからの京都は、
本来の姿を取り戻したかのように秋晴れ。
本日も!



 

この数日は寒暖の差が激しいので、
一層紅葉は進みそうだが、まだ動く時ではない(笑)
それでは前回の続きから…

 

 

 

 

 

 

 

 



 

目の前の茅葺入母屋造りの「松琴亭」は、
白川橋とも云われる一枚の切石でつながっている。
建物の左手の躙り口の内部は三畳台目の茶室。
写真に収めることは出来なかったが、
遠州好み「八ツ窓の囲」で8つの窓がある。

 








 

池に面してくど構えを持つ「松琴亭」は「冬の亭」とも呼ばれ、
一の間、二の間より北に庭園が望め、
池の天橋立、洲浜などが視界に入る。













「松琴亭」は離宮内で最も格式が高い茶席である。
手前の6畳の二の間、中央の11畳の一の間、
次の間、水屋、二つの板間(炉一基付)などからなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 

正面青色の襖の左の奥が、
「八ツ窓の囲」の三畳台目の茶室となる。













 

前出のブルーノ・タウトを表現主義の建築家として紹介したが、
大きな流れから見るとモダニズム建築家に属する。













タウトは装飾華美な日光東照宮は好まず、
伊勢神宮、飛騨白川郷等の単純で素朴なものに美を見出し、
その最たるものが桂離宮になる。
それ故に通常は水墨画などが描かれている襖が、
淡いブルーのシンプルな古典柄の市松模様。
一連の色彩の流れから意表を突く演出。
この色彩と市松模様を初めて写真で見た時に小生も驚いた。

 

 

 

 

 

 

 




 

一の間床の間脇に厨子棚付の袋棚、
部屋を暖めるための石炉が設けられている。
その上部の天袋、地袋の小襖4枚に、
僅かながら狩野探幽筆の墨絵が描かれている。










 

ブルーノ・タウトはモダニズム建築の示唆を
桂離宮に求めていたように感じる。
モダニズム建築の三大巨匠、フランク・ロイド・ライト
ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエ。
個人的にはライトはこれらとは真逆の建築家と思っている。
何れにせよコルビュジエがモダニズムをリードしていて、
機能的、合理的な造形理念に基づく建築、
その手法としてモジュールを用いだしている。
モジュールとは設計する上で基準となる基本寸法。
これは難しい事では無く、
昔から日本の建築寸法として応用されてきた尺貫法。
殆どの住まいの基本は畳による間取りで、
凄くシンプルな方法でもって組み立てられている。
これはドイツ人建築家には機能的、合理的に
映ったのは当然の事だろう。

 

 




それにもう一つ驚きを与えたのは、
モダニズム建築が工場生産による部材、
ガラス、鉄骨、セメントの使用を余儀なくされて時に、
木材、草、土、和紙で構成された造形の美しさに触れた時、
衝撃的だったと思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





「松琴亭」を見終え、
次の茶席「賞花亭」は中島の小高い丘に建っている。

 

 

 

 

 

 

 

 





途中、池越しに古書院が見える。















 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この辺りは螢谷と呼ばれいて、
夏には沢山の蛍が飛び交うらしい。
それ故にこの反り土橋は蛍橋と命名されている。

 

 

 

 

 

 

 

 




 

標高差6mほど登りツツジの先、
峠の茶屋風の「賞花亭」は開放的な茶席…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




苑内で最も高い位置にあって、
「春のお茶屋」とも呼ばれている。

 

 

 

 

 

 

 

 




 

4枚の畳をコの字形に敷き中央に土間、炉がある。
正面と側面を開放し、土壁に下地窓、連子窓が開き、
奥に水屋を設けている。











 

茅葺、切妻造、
高台にあるため西に愛宕山を遠望できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前庭に丸い鉄鉢型手水鉢があり、
五輪塔水輪に見立てたものと云う…

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 

付近の苑路にはキリシマツツジ、ツツジの植栽があり、
春先はこの様に華やいだ光景が拝める。

 

 

 

 

 

 





 

池に架かる反り橋の奥に見えるのは、
珍しい意匠が観れる「笑意軒」?











 

ピンクのツツジの背後の茶席「笑意軒」。
次回続きは「笑意軒」と「月波楼」で締め括りたく候…

 

 


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