…と云われる奈良期の説話画で 釈尊の伝記を描いたものは何か?
絵巻物の原型とされ、 釈尊の伝記を描いた国宝で、 醍醐寺や上品蓮台寺に残る巻物は、 『絵因果経』である。
釈迦の前世の一部 と生誕から涅槃までを説く 『過去現在因果経』を 分り易くするために絵を加えている。
下段に経文を写し、上段に絵を描き、 経文の意味するところを表現している。
本来は8巻からなる。 奈良期の天平写経のものとしては、
・上品蓮台寺(ジョウボンレンダイジ)本 ・醍醐寺(報恩院)本 ・東京藝術大学本 ・旧・益田家 ・出光美術館本 があり、その一部が残る。
特に醍醐寺本は、 巻5を完全な形で伝えている。
天平写経の巻物は書体が当時の奈良朝風、 絵は中国六朝風の古体で描かれており、 鎌倉期の『絵因果経』とは区別されている。
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