右京栂尾「高山寺」である。

 

当寺は、

宝亀5年に光仁天皇の

勅願によって創建された。

 

衰退した後、

明恵上人が建永元年に

後鳥羽上皇の院宣を得て再興し、

「高山寺」と改めた。

 

数ある寺宝の中でも最も著名で

人気があるのが「鳥獣人物戯画(国宝)」である。

 

 

 

墨による単色の筆線だけで

描かれた白描絵巻で、

平安後期から鎌倉前期の作。

 

作者は鳥羽僧正とされている。

 

 

「甲」「乙」「丙」「丁」の4巻で構成され、

 

「甲」卷は、

動きのある墨線による白描で、

ウサギや猿、カエルなど動物たちが、

水遊びや弓遊び、相撲、法要などに

興じる姿が描写され、

「鳥獣戯画」の呼称が生まれるもとになった。

 

人間界への風刺や擬人化の

意図を読み取る説もある。

 

「乙」巻は、

実在の動物に加えて

空想上の動物の生態を、

絵手本や動物図鑑の趣で描き集めている。

 

「丙」卷は、

人々の勝負遊び様子を前半に、

ウサギやカエル、猿など動物達による

遊戯を後半に描き、

 

「丁」巻は流鏑馬(ヤブサメ)を

する人物などの漫画的な描写が特色。

 

「丙」「丁」の2巻は、

鎌倉期に入ってからの作とされる。