…「楊貴妃観音」がある寺院は?

 

楊貴妃と云えば、

歌舞音曲に長じた彩色兼備の女性。

 

 

白楽天・作の長編叙事詩

「長恨歌(チョウコンカ)」によれば、

唐の6代皇帝・玄宗の寵愛を受け、

栄耀栄華を極めるが、臣下の反乱で殺され、

悲しんだ玄宗が妃の魂を探し求めたと云う。

 

日本の王朝文学にも大きな影響を与え、

能の材題にもなっている。

 

 

この玄宗が楊貴妃の冥福を祈り、

妃を模って作らせたと伝える楊貴妃観音像は、

像高約114センチの寄木造。

 

宝相華に唐草文様の宝冠を戴き、

様式的には中国・宋代の木像彫刻とされ

鎌倉期の僧・湛海(タンカイ)が招来したと伝える。

 

 

 

 

現在、

東山・泉涌寺の観音堂に安置され、

美人祈願や縁結びの信仰を集める。

 

泉涌寺は、

平安前期に左大臣となった

藤原緒嗣(オツグ)が帰依した

修(ジンシュウ)の建立による

法輪寺(仙遊寺)が始まりとされ、

鎌倉前期にその寺地を入宋僧

・俊芿(シュンジョウ)が寄進を受け、

皇族らの後援もあり大伽藍を造営。

 

勅願寺となり、

山内には四条天皇はじめ

後小松・後水尾・光格ら諸天皇の御陵が残る。

 

 

重文建造物のうち仏殿には

狩野探幽の筆とされる

龍図や白衣観音図が描かれる。

 

大門(東山門)は、

御所の門を移したものと

伝えられる桃山期の建築。

 

この他、寺宝としては、

俊芿が喜捨を仰ぐのにしたためた

「泉涌寺勧縁疏(国宝)」、

俊芿律師像(重文)などがある。