Twitterのタイムラインで、昨日の電車内での出産の動画をマスコミが探している、という呟きを見た。真偽の程は知らないけれど、これが事実だとしたら、本当にこの国のマスコミと名乗るものは地に落ちてしまったのだと思う。どこに目の前でしかもありえないシチュエーションでの出来事を、平然とカメラに収められる人がいると思うのだろうか?
昨日の小室さんの件もそうだが、そこに人の心は介在していないのだろうか?

介護に関して言えば、実際に介護を経験してみなければ、本当にその苦しみを感じることはできないとはっきりわかる。
子供を育てるのは近い将来にその成長の証が確かにあるが、介護には近い将来に期待できる光が見えない。そんな状況の中でさえも喜びがあったりはする。しかし日々変わる症状に介護するもの自身が振り回され、疲弊してしまうのは事実だ。到底家族だけで見切れるはずもないし、専門的な知識を持った介護従事者の力は、体力的にも精神的にも有難い。
私も90才を境に認知症の症状が月を追うごとに酷くなった母を見ていて、専門の施設に入れるべきか、慣れ親しんだ自宅で最期を迎えさせてあげるべきか、悩みに悩んだが、とても家族だけでは母の症状に追いつけず、施設にお願いをした。
それから2年以上経つが、母の認知症は進んだものの精神的には安定し、健康面でも改善されるなどやはり間違った選択ではなかった、と今は思う。
かように、介護には他人では計り知れない事情や内情があるのだから、それを他人が土足で踏み込むような真似をして、一体何がしたいんだろうと思う。

冒頭に書いた出産の動画を探していたというマスコミは、それをどうしたかったのだろう?
報道という気概があるのなら、もっと人間に立ち返ってみてください。
あまりにも人の心がなさすぎる出来事に打ちのめされている。